P41. シスタチンCは骨髄由来間様系幹細胞の骨への分化を促進する
【目的】シスタチンC(CysC)は乳汁や脳脊髄液, 唾液に含まれるシステインプロテアーゼ阻害剤である. CysCは破骨細胞の分化や骨吸収能を抑制するが, 骨形成への作用は報告がない. そこで, ヒト骨髄由来間様系幹細胞(hMSCs)を用いCysCの骨形成への影響を解析した. 【方法】hMSCsをCysC添加および非添加で培養し, 骨芽細胞への分化を評価した. 脂肪細胞分化をoil red O染色にて評価した. またCysC刺激hMSCsをヌードマウス皮下移植し, 骨形成を評価した. また, メカニズムの解明のため, マウス初代骨髄由来間葉系細胞(Danjo A, et al, BBRC, 20...
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Published in | 日本再生歯科医学会誌 Vol. 5; no. 1; p. 73 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本再生歯科医学会
30.12.2007
Japanese Association of Regenerative Dentistry |
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ISSN | 1348-9615 |
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Summary: | 【目的】シスタチンC(CysC)は乳汁や脳脊髄液, 唾液に含まれるシステインプロテアーゼ阻害剤である. CysCは破骨細胞の分化や骨吸収能を抑制するが, 骨形成への作用は報告がない. そこで, ヒト骨髄由来間様系幹細胞(hMSCs)を用いCysCの骨形成への影響を解析した. 【方法】hMSCsをCysC添加および非添加で培養し, 骨芽細胞への分化を評価した. 脂肪細胞分化をoil red O染色にて評価した. またCysC刺激hMSCsをヌードマウス皮下移植し, 骨形成を評価した. また, メカニズムの解明のため, マウス初代骨髄由来間葉系細胞(Danjo A, et al, BBRC, 2007)やMC3T3E1細胞を用いてBMP2関連遺伝子やsmadsのリン酸化を調べた. 【結果と考察】CysC刺激群では, 非刺激群に比べ骨芽細胞への分化促進を認めた. 脂肪細胞への分化促進は認めなかった. 移植実験ではCysC添加群に層板状の骨組織が形成された. CysC刺激MC3T3E1細胞では, BMP2遺伝子発現の上昇や, その下流のsmad 1/5/8のリン酸化が亢進していた. よってCysCはBMP2/smadを介して骨芽細胞への分化を促進し, 骨形成が促進することが示唆された. CysCは牛乳の塩基性タンパクの主成分であり, また骨形成を正に制御することから, 牛乳の摂取による骨粗鬆症の予防や骨折治癒の促進などが期待される. |
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ISSN: | 1348-9615 |