1.放射線療法のQuality assurance(QA)

医療のQAは, 一般社会や企業におけるQAの理念と全く同様であり, 品質を管理して品質保証するのがQC(Quality control)の目的である. 医療のQCの実施に際しては医療従事者(man), 材料医薬品(material), 機械装置(machine), 方法技術(method), 測定試験(measurement)の5Mが管理(management)の基本となるが, さらに医療の質の評価には構造プロセス結果の3要素の分析が必要となる. 放射線治療に関わる構造には, 放射線治療装置, 関連機器などの設備, スタッフの充実度ばかりでなく, 治療技術や施設全体としての機能など幅広い因子が...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 2; pp. 236 - 237
Main Author 早川和重
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2003
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Summary:医療のQAは, 一般社会や企業におけるQAの理念と全く同様であり, 品質を管理して品質保証するのがQC(Quality control)の目的である. 医療のQCの実施に際しては医療従事者(man), 材料医薬品(material), 機械装置(machine), 方法技術(method), 測定試験(measurement)の5Mが管理(management)の基本となるが, さらに医療の質の評価には構造プロセス結果の3要素の分析が必要となる. 放射線治療に関わる構造には, 放射線治療装置, 関連機器などの設備, スタッフの充実度ばかりでなく, 治療技術や施設全体としての機能など幅広い因子が含まれる. プロセスには, 患者の診断法, 治療方針, 治療法技術などの医療行為に関わる因子が含まれ, 結果には, 生存率をはじめ局所制御率, 有害事象QOLなどの因子が含まれる. 放射線治療の質を高めるためには, これらの要素の関係を十分理解し, それぞれの項目を分析して評価することが重要である. わが国と欧米各国との間には医療行政の差や人口の高齢化, 治療に対する反応性の違いなどがあり, わが国の社会情勢に即した標準的放射線治療法の確立が求められている. そのためには臨床的QCQA制度の確立と標準化ならびに質の高い臨床研究が必須である. 放射線療法の構造プロセスに関わる要因は多項目に及ぶが, 特性要因図に基づくQCの概容を図1に示す. Quality assurance(QA)は品質保証と訳されるが, assuranceとは請負うことではなく請合うことである. 患者に対して自信を持って良質な放射線治療と良好な治療結果を請合えるようにわが国の放射線療法のQCQAシステムを充実させることが, 治療成績の向上のために重要である.
ISSN:1343-2826