I2. 重症児に対する食事訓練用いすについて(5)-強度の変形を有する症例に対するアプローチ
30余年の長期間寝たきりで, 強い変形を有する症例に2段階に分けていすを処方し, 起きて食事がとれるようになったので報告した. 症例は35歳の女子. 1歳の時, 結核性髄膜炎に罹患, 某国立大学小児科にて入院治療1年余, 一命を取留めて全身性の運動麻痺, 脳水腫, てんかんおよび重度精神遅滞を残して退院. 以後往診のみに頼り, 31歳時に母親死亡し, 重症児施設に入所す. 【所見】顔面は左に強く回転したままで固定し, 体幹は140°の右凸側彎ありて胸郭は偏平化し, 四肢は屈曲拘縮のまま動きを失いて左側に倒れ, 両股脱あり, 頭囲62cm. 【療育経過】入院後, 連日のように38℃台の発熱あり,...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 24; no. 6; p. 387 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.1987
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Summary: | 30余年の長期間寝たきりで, 強い変形を有する症例に2段階に分けていすを処方し, 起きて食事がとれるようになったので報告した. 症例は35歳の女子. 1歳の時, 結核性髄膜炎に罹患, 某国立大学小児科にて入院治療1年余, 一命を取留めて全身性の運動麻痺, 脳水腫, てんかんおよび重度精神遅滞を残して退院. 以後往診のみに頼り, 31歳時に母親死亡し, 重症児施設に入所す. 【所見】顔面は左に強く回転したままで固定し, 体幹は140°の右凸側彎ありて胸郭は偏平化し, 四肢は屈曲拘縮のまま動きを失いて左側に倒れ, 両股脱あり, 頭囲62cm. 【療育経過】入院後, 連日のように38℃台の発熱あり, 原因不明のまま, 2年後に落ち着き, 療育を開始す. まず, 顔面および四肢が左に倒れているので, そのまま全身を約90°右回旋して顔面正中位の状態で採型, 頭部から足部に及ぶ全身を受けとめる大型のバケットシートを作製してハンドル操作にてシートが左右にそれぞれ30°前方45°傾斜可能な第1号いすを作製す. この椅子により, 漸次身体を起こすことに慣れ, 顔面正中位にて食事がとれるようになり, 口腔機能の改善をみる. 約1年後, 体幹部のみバケットシートにしたテーブル付き車いす第2号車を作製し, いすに坐った姿勢にて食事が取れるようになり, あわせて同車により屋外散策が可能となる. |
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ISSN: | 0034-351X |