48.不正咬合患者の下顎前歯部歯肉退縮に対する歯周病学的検討

近年, 若年者における前歯部の不正咬合によって生ずる歯肉退縮や, 歯肉炎の発生について関心が向けられてきている. 若年者の歯肉退縮の主な原因としては, 特に歯の萌出位置や方向の異常から, さらに唇側歯槽骨の厚さの不足から生ずることが多いとされている. 若年者においては, 以上の要因の他に歯垢蓄積による歯肉炎の発生によるものも多い. 歯肉退縮の問題については, 単に歯周病学的アプローチのみならず, 歯の矯正治療を積極的に行ない, 至適な位置に歯をもどすことによって, 歯肉退縮が成長とともに改善してくる可能性も十分にある. 今回, 演者らは, 若年者のこれらの問題が主として, initialpre...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 26; no. 1; p. 160
Main Authors 柳村光寛, 柳村知子, 原耕二, 篠倉均, 花田晃治, 柴崎貞二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯周病学会 28.03.1984
特定非営利活動法人日本歯周病学会
The Japanese Society of Periodontology
Online AccessGet full text
ISSN0385-0110

Cover

More Information
Summary:近年, 若年者における前歯部の不正咬合によって生ずる歯肉退縮や, 歯肉炎の発生について関心が向けられてきている. 若年者の歯肉退縮の主な原因としては, 特に歯の萌出位置や方向の異常から, さらに唇側歯槽骨の厚さの不足から生ずることが多いとされている. 若年者においては, 以上の要因の他に歯垢蓄積による歯肉炎の発生によるものも多い. 歯肉退縮の問題については, 単に歯周病学的アプローチのみならず, 歯の矯正治療を積極的に行ない, 至適な位置に歯をもどすことによって, 歯肉退縮が成長とともに改善してくる可能性も十分にある. 今回, 演者らは, 若年者のこれらの問題が主として, initialpreparationと矯正治療との併用によって解決できるかどうか, 検討した. 前歯部の反対咬合および唇側転位に伴なう歯肉退縮をもつ17名(平均年齢9歳)についてその効果を7~18ヵ月間観察した. その結果, 歯周組織の臨床的変化のパラメーターとして以下の項目について診査し, 終了後に著明な改善がみられしすなわち, GI:1.26→0.18, ProbingDepth(mm):1.79→1.33, AGの幅(mm):1.06→1.68, 角化歯肉の幅(mm):2.39→2.68, Mobility:0.75→0.21であった.
ISSN:0385-0110