15.健常者歩行の加齢変化-時間・距離因子および床反力波形の代表値について

目的:歩行分析における評価基準とするために, 健常者について, 時間, 距離因子および床反力波形の基礎データを作成し, 加齢による影響および性差を検討する. 方法:4m×80cmの左右独立三次元床反力計を用い, 16歳から80歳までの128名の健常者に運動靴を装着させ, 練習後自由歩行を行わせた. 垂直床反力出力を体重の1%で切り, 接床, 離床の時刻を検出し時間因子を算出. 圧力中心軌跡から両足接床間の歩幅, 歩隔を算出. 床反力は体重で, 時間軸は各位相を平均化後1周期における比率で規格化, 各位相毎に加算平均後, 再合成した. 結果:(1)健常者歩行の基礎データを作成した. (2)加齢の...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 21; no. 6; pp. 412 - 413
Main Authors 高見正利, 相川孝訓, 宗田大, 奥村信二, 森田定雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.1984
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Summary:目的:歩行分析における評価基準とするために, 健常者について, 時間, 距離因子および床反力波形の基礎データを作成し, 加齢による影響および性差を検討する. 方法:4m×80cmの左右独立三次元床反力計を用い, 16歳から80歳までの128名の健常者に運動靴を装着させ, 練習後自由歩行を行わせた. 垂直床反力出力を体重の1%で切り, 接床, 離床の時刻を検出し時間因子を算出. 圧力中心軌跡から両足接床間の歩幅, 歩隔を算出. 床反力は体重で, 時間軸は各位相を平均化後1周期における比率で規格化, 各位相毎に加算平均後, 再合成した. 結果:(1)健常者歩行の基礎データを作成した. (2)加齢の影響;歩調, 歩幅の減少により, 歩行速度が遅くなった. 歩調の減少は, 両脚支持期の増加にも相関が強かった. 垂直床反力第1蜂, 谷, 第2蜂および制動, 駆動力は減少し静的波形となった(歩行速度とも相関する). 側方力の谷は膨らむ. 両脚支持期の垂直合力は増加する傾向があった. また左右差は検出できなかった. (3)性差;女性は男性に比べて, 歩幅短く歩調多い為, 歩行速度は差がない. 歩隔は短い. 歩幅/身長比は差がない. 床圧力各特性点の値(偏差)は少なかった. (4)歩調と歩幅が及ぼす影響の強さを重回帰分析による標準偏回帰係数で比較すると, 歩行速度は歩幅の方が影響大であり, 垂直力第1蜂は歩調と歩幅に, 前後力は歩幅と相関が強かった. 質問 埼玉リハセンター 田中繁:(1)障害者のデータと健常者のそれとを比較する場合に, 年齢としてどの位に区分をしたものを使えばよいのか, お教え願いたい. (2)一定ケーデンスの実験で, ケーデンスを80とした理由は何か. 我々の経験では若年者の自由歩行ではケーデンスの平均が約90という値を与えており, これから比べると, やや小さすぎるように思う. 答 高見正利:(1)異常歩行と比較する場合は, どの年代と比較すれば良いのかについては, いきなり, 健常者のデータと障害者と比較することは考えていない. 障害者でも, 状態が良い人では比較できる. その時は, 20歳代と70歳代とは明らかに違うので年代毎に分けると精度が良くなると思う. 健常者歩行とよく言われる割合に, それを示した床反力データが少ないように思う事と, 各パラメータ間の関係が知りたかったので, まとめてみた. (2)ケーデンス80で条件設定した理由は, 健常者ではこれ以下では安定して歩けないだろうという実感と, 障害者歩行と比較できる値の妥協点をとった.
ISSN:0034-351X