23. 変形性股関節症における筋萎縮と筋力低下並びに皮膚温低下について
【目的】運動器疾患のリハビリテーションにおいては筋萎縮の予防並びに改善と, 筋力増強の意義は大きい. 筋萎縮や筋力低下の程度が正しく測定できれば, 臨床上有用であろう. 数年来, 変形性股関節症(変股症)の外転筋につき, 各種の検査手法を用いてこれらの客観的な値や, 更には皮膚温の変化を検討し, 有意な結果を得てきたので報告する. 【方法】(1)骨盤部CT検査にて殿筋の断面像を得, その面積およびCT値を測定して健側との比を求め, 有意な情報を得ることを知り, 片側変股症20症例の特に中殿筋につき検討した. (2)外転筋の筋力測定装置を開発し数量化を可能にしたので, 通院加療より手術(THR)...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 26; no. 4; pp. 236 - 237 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.07.1989
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】運動器疾患のリハビリテーションにおいては筋萎縮の予防並びに改善と, 筋力増強の意義は大きい. 筋萎縮や筋力低下の程度が正しく測定できれば, 臨床上有用であろう. 数年来, 変形性股関節症(変股症)の外転筋につき, 各種の検査手法を用いてこれらの客観的な値や, 更には皮膚温の変化を検討し, 有意な結果を得てきたので報告する. 【方法】(1)骨盤部CT検査にて殿筋の断面像を得, その面積およびCT値を測定して健側との比を求め, 有意な情報を得ることを知り, 片側変股症20症例の特に中殿筋につき検討した. (2)外転筋の筋力測定装置を開発し数量化を可能にしたので, 通院加療より手術(THR), 術後リハビリ施行後, 定期的に経過観察中の2年以上経過症例20例につき, 患側/健側(筋力比)を求め, その経時的変化を検討した. 同時に股評価点数の推移とも比較した. 同様に術後早期症例および長期症例についても検討した. (3)サーモグラフィにて片側変股症40例の殿筋領域での皮膚温分布を知り, 独自のデータ処理法にて左右の平均温度差を求め, 股評価点数との関連性を検討した. 【結果と考察】(1)患側中殿筋を中心に断面積の縮小, CT値の減少を認め, 各々の健側との比も低下し, 両比間の相関性, 臨床経過の反映を認めた. (2)症状の進展に伴い, 外転筋力は低下し, 術後は改善傾向がみられ, 筋力強化の重要性が理解できた. (3)全例とも患側の皮膚温低下が特徴的で, 股評価点数と強い相関性を認め, CT所見をも考慮し, 発現機序への筋萎縮の関与が大きいと考えられた. 【結語】筋萎縮, 筋力低下, 皮膚温低下には関連性があり, 変股症評価には有用性が高い. 質問 国立大阪南病院 前田晃(座長):術後症状の改善経過と皮膚温の変化は明確に平行しますか. 質問 林病院 田中直:THR術後は,手術の影響として皮膚温の上昇が考えられるが, 術後どれくらい経過してから皮膚温測定を開始しておられますか. |
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ISSN: | 0034-351X |