3. 新しい細胞機能評価法:表面プラズモン共鳴シグナルと細胞内シグナル伝達系との関係

表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance:SPR)バイオセンサーは, 抗原-抗体, リガンド-受容体などの結合を計測することに広く用いられている. 我々は, SPRバイオセンサーを用いて金属板上の細胞の活性化を無標識・リアルタイムに検出できることを見出したが, SPRシグナルがどのような細胞内シグナルを反映しているかについては未だ明らかになっていない. 今回我々は, RBL-2H3マスト細胞を用いて抗原刺激によるシグナル伝達とSPRシグナルとの関連について検討を行った. RBL-2H3細胞に優性阻害剤Syk, LATまたはGadsを過剰発現させて, これら比較的上...

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Published in山口医学 Vol. 57; no. 4; p. 112
Main Authors 平郡隆明, 田中麻衣子, 筒井智子, 柳瀬雄輝, 鈴木秀規, 秀道広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.08.2008
Yamaguchi University Medical Association
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ISSN0513-1731

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Summary:表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance:SPR)バイオセンサーは, 抗原-抗体, リガンド-受容体などの結合を計測することに広く用いられている. 我々は, SPRバイオセンサーを用いて金属板上の細胞の活性化を無標識・リアルタイムに検出できることを見出したが, SPRシグナルがどのような細胞内シグナルを反映しているかについては未だ明らかになっていない. 今回我々は, RBL-2H3マスト細胞を用いて抗原刺激によるシグナル伝達とSPRシグナルとの関連について検討を行った. RBL-2H3細胞に優性阻害剤Syk, LATまたはGadsを過剰発現させて, これら比較的上流に位置するシグナル伝達分子の活性化を抑制すると, 抗原刺激によるSPRシグナルは著明に減弱した. その下流のシグナルについては, SPRシグナルがPMAによっても惹起されることを踏まえ, PMAの直接標的分子であるPKCについて検討した. PKCβ以外のPKCisoformをRBL細胞に過剰発現させると抗原刺激によるSPRシグナルは逆に減弱した. 一方, 唯一SPRシグナルを阻害しないPKCβに対する特異的siRNAを発現させると, SPRシグナルの減弱が認められ, 抗原刺激によるマスト細胞のSPRシグナルはPKCβの活性化に依存することが明らかとなった.
ISSN:0513-1731