部位特異型スケーラーの有効性に関する研究-歯肉縁下用エアースケーラーとの比較(模型上における検討)
[目的]歯周治療における病因除去療法(歯周基本治療)の中で, スケーリング, ルートプレーニングは最も基本的で重要な治療法であり, それらは現在手用器具, または機械器具によって行われている. しかしその有効性については明確でないのが現状である. そこで, 機械器具は, その代表であるエアースケーラーを用い, 当講座の学生実習に使用しているペリオ実習用模型を使って, 各操作による器具の到達性と人工着色剤除去率(除去率)について比較検討した. [材料および方法]実習用模型の人工歯根面に, 罹患歯根面を想定して人工着色剤を塗布し, ファントームに装着した状態で2-2, 7, 4に対し, 臨床経験年...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 45; no. suppl-2; p. 151 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯周病学会
05.04.2003
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Subjects | |
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ISSN | 0385-0110 |
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Summary: | [目的]歯周治療における病因除去療法(歯周基本治療)の中で, スケーリング, ルートプレーニングは最も基本的で重要な治療法であり, それらは現在手用器具, または機械器具によって行われている. しかしその有効性については明確でないのが現状である. そこで, 機械器具は, その代表であるエアースケーラーを用い, 当講座の学生実習に使用しているペリオ実習用模型を使って, 各操作による器具の到達性と人工着色剤除去率(除去率)について比較検討した. [材料および方法]実習用模型の人工歯根面に, 罹患歯根面を想定して人工着色剤を塗布し, ファントームに装着した状態で2-2, 7, 4に対し, 臨床経験年数1年以下の10名(以下:初心者群)と7年以上の10名(以下:ベテラン群)の当講座医局員20名がルートプレーニング処置を施行した. 手用によるルートプレーニング操作は各部位に適したヒューフレディ社製のグレーシーキュレットスケーラー(キュレット)を使用し, 頬側, 舌側, 近心, 遠心の4歯面に対し, 歯軸方向に10ストロークずっ行った. また機械によるルートプレーニング操作は, SONICflex(R)paroチップ(KaVo社, ドイツ)を装着したエアースケーラーSONICflex(R)LUX2000L(KaVo社, ドイツ)(エアースケーラー)を使用し, 頬側面(以下:B), 舌側面(以下:L), 近心面(以下:M), 遠心面(以下:D)の4歯面に対しそれぞれ30秒間行った. その評価には, ルートプレーニング処置後の人工歯根面を, 実体顕微鏡(CS530MD, 01ympus, 東京)からパーソナルコンピューター(Power-Macintosh7600/200, Apple Japan, 東京)に取り込み, 画像解析ソフト(Mac SCOPE, 三谷商事, 福井)を使用して解析した. エナメルセメント境から人工着色剤が除去された根尖方向への最長距離と, 各歯根面の面積に対する人工着色剤除去部分の面積を計測し, 各スケーラー別の到達性と除去率を比較した. なお, データ解析は, 解析ソフトStatView5. 0(SAS Instutue Inc, USA)を用いて行った. [結果]到達性におけるエアースケーラーとキュレットの比較では, 初心者群の一部を除くとエアースケーラーの方が到達性が良い傾向にあった. 4Lと7Dにおけるベテラン群でエアースケーラーの方が有意に到達が可能であった(P<0. 01). 除去率におけるエアースケーラーとキュレットの比較では, 下顎前歯部では舌側面以外の歯面において初心者, ベテラン両群ともキュレットの方がより除去率が高い傾向にあった. 4D, Mにおいては初心者, ベテラン両群ともキュレットの方がより除去率が高い傾向にあった. 4Mにおける初心者群でキュレットの方が有意に除去可能であった(P<0. 01). 4Dにおけるベテラン群でキュレットの方が有意に除去可能であった(P<0. 05). 7においては, 初心者群のD面以外の歯面において初心者, ベテラン両群ともエアースケーラーの方が除去率が高い傾向にあり, ベテラン群のD面で有意差が認められた(P<0. 01). 除去率におけるベテラン群と初心者群の比較では, 2-2の全歯面においてエアースケーラーでベテラン群の方が有意に除去可能であった(P<0. 05). 7D, B, Lではベテラン群の方が有意に除去率が高かった(P<0. 05). 7におけるキュレットでは, ベテラン群と初心者群の間に有意な差は認められなかった. [考察と結論]ほとんどの部位でエアースケーラーがキュレットより高い除去率を示すことはなかった. しかし7Dのように深い骨内欠損を有するような特定の部位においては, エアースケーラーの方が除去率, 到達性ともに有効に使用することが可能な場合もあった. エアースケーラーにおける初心者群とベテラン群を比較してみると, 除去率, 到達性ともに, 初心者群はベテラン群より劣っている傾向にあったことから, エアースケーラーは初心者にとって易しい手技ではなく, 充分に訓練の余地があると思われた. [文献]歯周病学会誌木抹緑部位特異型キュレットスケーラーの有効性に関する研究 |
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ISSN: | 0385-0110 |