27. ビスフォスフォネートにより発症したと思われる顎骨骨髄炎の2症例

骨粗鬆症の治療・予防にビスフォスフォネート(Bisphosphonates:以下, BPs)の内服薬投与患者におきた骨髄炎2症例を報告した. 症例1は82歳女性, 右上顎骨骨髄炎, 右歯性上顎洞炎で, 原因歯の抜歯および腐骨除去後も排膿が持続するため当科を紹介受診. CT検査で著しい右上顎骨の吸収像を認めたが, 服薬中のBPsを休薬後, 消炎治療で症状は軽快した. 症例2は79歳女性, 下顎インプラント周囲炎からの骨髄炎で炎症症状を繰り返すため, BPs休薬後早期に原因インプラント除去および腐骨除去術を施行. 術後も休薬継続で創部は治癒傾向である. BPsは強力な骨吸収抑制作用を有し, 悪性腫...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 172 - 173
Main Authors 藤田弥千, 村木祐孝, 田部史郎, 高尾真暢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.01.2009
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Summary:骨粗鬆症の治療・予防にビスフォスフォネート(Bisphosphonates:以下, BPs)の内服薬投与患者におきた骨髄炎2症例を報告した. 症例1は82歳女性, 右上顎骨骨髄炎, 右歯性上顎洞炎で, 原因歯の抜歯および腐骨除去後も排膿が持続するため当科を紹介受診. CT検査で著しい右上顎骨の吸収像を認めたが, 服薬中のBPsを休薬後, 消炎治療で症状は軽快した. 症例2は79歳女性, 下顎インプラント周囲炎からの骨髄炎で炎症症状を繰り返すため, BPs休薬後早期に原因インプラント除去および腐骨除去術を施行. 術後も休薬継続で創部は治癒傾向である. BPsは強力な骨吸収抑制作用を有し, 悪性腫瘍による高カルシウム血症, 乳癌の溶骨性骨転移による骨合併症, 多発性骨髄腫, 骨粗鬆症などの治療薬である. しかし, 近年欧米でBPs投与患者の顎骨壊死が多数報告され, 本邦でも症例が増加している. BPs内服薬の骨壊死発症率は非常に少ないといわれるが, 今回の症例のように, 骨粗鬆症の治療薬として投与される患者は非常に多く, ほとんどが高齢者である. そのため, 今後BPs内服患者の骨髄炎, 骨壊死症例も増加すると思われ, 注意が必要だと考える.
ISSN:0368-6833