6. 脊髄損傷患者における幻肢現象
【目的】四肢切断者における幻肢現象は一般に広く知られているが, 脊髄損傷患者においてもこれに類似した現象がしばしば出現する. 今回我々はこの脊損患者における幻肢現象について検討考察を加えたので報告する. 【対象および方法】対象は外傷性脊髄完全損傷24例で, 幻肢現象の有無, その性質などについて直接インタビューまたはアンケート形式の質問用紙にて調査した. 【結果】幻肢は麻痺肢が全く喪失してしまったように感じるamputation illusion2例と, 麻痺肢が実際の姿勢とは異なったある一定の肢位をとっているように感じるphantom position17例とに分類できた. Phantom...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 25; no. 4; p. 250 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.07.1988
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Summary: | 【目的】四肢切断者における幻肢現象は一般に広く知られているが, 脊髄損傷患者においてもこれに類似した現象がしばしば出現する. 今回我々はこの脊損患者における幻肢現象について検討考察を加えたので報告する. 【対象および方法】対象は外傷性脊髄完全損傷24例で, 幻肢現象の有無, その性質などについて直接インタビューまたはアンケート形式の質問用紙にて調査した. 【結果】幻肢は麻痺肢が全く喪失してしまったように感じるamputation illusion2例と, 麻痺肢が実際の姿勢とは異なったある一定の肢位をとっているように感じるphantom position17例とに分類できた. Phantom positionは股 膝関節を90°屈曲した姿勢のものが7例と最も多く, その他に股 膝関節を強く屈曲しているもの, 軽度屈曲しているものなどがあった. また上肢のphantom positionや肛門の拡張感を訴えたものも認められた. Phantom positionはほとんどが受傷後2か月以内に出現し, 障害の受容が進み, リハが軌道に乗らてくる時期に消失していく傾向にあった. 幻肢が長期間存続する症例は焦りや不満を強く抱いているものが多く, 心理的要素の関与をうかがわせた. 【考察】幻肢現象はbody imageの障害という観点でとらえることができるが, その発生機序に関してはdeafferentationによる中枢神経系の異常な発射活動が示唆される. また心理的要素も関与していると考えられる. 質問 川崎医大 伊勢真樹:幻肢と麻痺対応はありましたでしょうか? 答 岡本弦:今回は特に幻肢痛については検討していないが, 幻肢痛の強さと幻肢の特定な肢位との関連性はなかったように思う. 印象としては幻肢が消失してからも幻肢痛が持続する症例が多かった. |
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ISSN: | 0034-351X |