3.食道癌手術における開腹胃管作製術と腹腔鏡補助下胃管作製術(HALS)の比較

【目的】食道癌手術において, 同時期の通常開腹胃管作製術とHand Assisted Laparoscopic Surgery(HALS)による胃管作成手術を比較検討した. 【対象と方法】2003年9月から2005年8月までの右開胸開腹食道亜全摘, 胃管再建手術症例のうち通常開腹胃管作製群(OL群)15例とHALS胃管作製群(HALS群)11例を対象とした. HALSの適応は術前画像診断にて腹部リンパ節に腫大がなく, 主病変がMtより口側, 術前に文書での同意が得られた症例とした. HALSは上腹部に6.5cmの小切開をおきGelPortを装着, 左上腹部2ヶ所に10mmのポートを挿入し, 主...

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Published in山口医学 Vol. 55; no. 2/3; p. 102
Main Authors 得能和久, 安部俊弘, 吉野茂文, 武田茂, 西村拓, 岡正朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 30.06.2006
Yamaguchi University Medical Association
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ISSN0513-1731

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Summary:【目的】食道癌手術において, 同時期の通常開腹胃管作製術とHand Assisted Laparoscopic Surgery(HALS)による胃管作成手術を比較検討した. 【対象と方法】2003年9月から2005年8月までの右開胸開腹食道亜全摘, 胃管再建手術症例のうち通常開腹胃管作製群(OL群)15例とHALS胃管作製群(HALS群)11例を対象とした. HALSの適応は術前画像診断にて腹部リンパ節に腫大がなく, 主病変がMtより口側, 術前に文書での同意が得られた症例とした. HALSは上腹部に6.5cmの小切開をおきGelPortを装着, 左上腹部2ヶ所に10mmのポートを挿入し, 主にLCSを用いて行った. OLは剣上突起から臍上までの上腹部正中切開にて行った. 【結果】対象症例のBMI, 年齢などの背景に差はなかった. 開腹操作時間(OL v.s. HALS:182.7±12.4 v.s. 201.4±9.1分, mean±SE, 以下同様), 手術出血量(618.9±75.4ml v.s. 534.3±83.7ml), 腹部リンパ節郭清個数(19.9±2.5 v.s. 19.9±2.3個), 術後腹部ドレーンの量(295.3±68.4 v.s. 359.5±104.1ml), ドレーン抜去時期(71.1±3.9 v.s. 93.5±10.5時間), 肺炎の発症(26.7% v.s. 27.2%)などに差は認めず, 縫合不全はいずれの群でも認められなかった. 術後白血球数, CRPの推移などにも差は認めなかった. Learning curveとしてはHALSの最初の1例は胃管作製まで255分を要したが, その後は全例3時間以内で施行でき, 最近の5例では100~150分と安定してきている. また, 現在まで腹部リンパ節再発症例は認めていない. 【考察】HALS手技は開腹胃管作製と比較して左横隔膜下付近の操作が良好な視野の下で施行でき, 短期間内に手術手技を習得できることから低侵襲手術に寄与すると考えられる.
ISSN:0513-1731