21. 下顎埋伏智歯抜歯時のパノラマX線写真とCTによる知覚異常出現の予見

下顎埋伏智歯(M3)抜歯における術後知覚異常(POP)に対するリスクの判断は, 術者の主観と経験にゆだねられる部分が多い. 当分野では主治医が術前のパノラマX線写真による診断でPOPのリスクが高いと判断した症例は, CT撮影を行い, 全身麻酔下(全麻)で抜歯を施行することが多い. 今回われわれは, 全麻下のM3抜歯に対するPOP出現を検証し, パノラマX線写真とCTにてPOPのリスクを予見できるかを検討した. 方法;本研究は2006年1月から12月にM3抜歯を行った1206症例中, 全麻下にM3抜歯を行った38人, 52症例を主たる対象とした. 評価は, M3歯根と下歯槽神経血管束(IAN)と...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 61; no. 4/5; p. 134
Main Authors 高尾真暢, 土生 学, 兒玉正明, 森本泰宏, 冨永和宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.11.2007
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:下顎埋伏智歯(M3)抜歯における術後知覚異常(POP)に対するリスクの判断は, 術者の主観と経験にゆだねられる部分が多い. 当分野では主治医が術前のパノラマX線写真による診断でPOPのリスクが高いと判断した症例は, CT撮影を行い, 全身麻酔下(全麻)で抜歯を施行することが多い. 今回われわれは, 全麻下のM3抜歯に対するPOP出現を検証し, パノラマX線写真とCTにてPOPのリスクを予見できるかを検討した. 方法;本研究は2006年1月から12月にM3抜歯を行った1206症例中, 全麻下にM3抜歯を行った38人, 52症例を主たる対象とした. 評価は, M3歯根と下歯槽神経血管束(IAN)との位置関係をパノラマX線写真およびCTにて評価し, POP出現との関連性を調査した. 全麻下に抜歯を行ったすべての症例で画像によりIANと歯根の近接もしくは接触が疑われたが, POP出現は52症例中8症例(15%)であった. 画像上, パノラマX線写真でIANと歯根が交叉し, かつ, CTにてIANが歯根の側方もしくは根間にある症例ではPOPの出現が高率であった. 術前画像所見上, POP出現が予想されたM3抜歯の実際の出現率は15%程度であった. これにより口腔外科主治医は適切な判断の下, 画像の追加, ならびに処置方法の選択を行っていることが明らかとなった. また, パノラマX線写真で歯根とIANが交叉し, かつ, CTにてIANが歯根の側方や根間にある症例には十分なインフォームドコンセントが必要と思われた.
ISSN:0368-6833