ラット骨芽細胞の初期増殖および骨形成に対する低出力レーザーの影響

【目的】低出力レーザーは, 臨床的には, 治癒能力を高める効果があり, 創傷の治癒促進, 鎮痛などに用いられている. 本研究は骨折治癒時の骨形成, 特に骨芽細胞に対して低出力レーザーがどの様に作用しているかについて検討した. 【方法】生後3日ラット頭頂骨由来骨芽細胞様細胞を用い, 以下の実験を行った. まず, 半導体レーザー装置(波長0. 90nm, 最大出力10W)の, 骨形成およびAlkaline Phosphatase(ALP)活性に対する至適照射条件(照射時期, 照射量)を求めた. 次に, その照射条件下で経時的に細胞数のカウントを行い, 5-Bromo-2'-deoxyur...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 437
Main Authors 福原栄司, 又吉誉章, 後藤哲哉, 小林繁, 高橋哲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
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Summary:【目的】低出力レーザーは, 臨床的には, 治癒能力を高める効果があり, 創傷の治癒促進, 鎮痛などに用いられている. 本研究は骨折治癒時の骨形成, 特に骨芽細胞に対して低出力レーザーがどの様に作用しているかについて検討した. 【方法】生後3日ラット頭頂骨由来骨芽細胞様細胞を用い, 以下の実験を行った. まず, 半導体レーザー装置(波長0. 90nm, 最大出力10W)の, 骨形成およびAlkaline Phosphatase(ALP)活性に対する至適照射条件(照射時期, 照射量)を求めた. 次に, その照射条件下で経時的に細胞数のカウントを行い, 5-Bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)およびアクチンの二重蛍光染色によって増殖率の変移を調べた. 【結果および考察】細胞培養後1週目, 照射量3. 75J/cm2のレーザー照射にて, 細胞数およびALP活性の増加が最も多く見られ, 細胞数の増加は4日目から, ALP活性は7日目から増加傾向を示した. 二重蛍光染色による増殖率の変移は, レーザー照射群は非照射群に比べ, 照射後6時間から24時間において増殖率の抑制が観察された. その後, 非照射群は照射36時間以降において増殖率が低下するが, 照射群は非照射群に比べ高い増殖率を維持することを示した. 従って, レーザー照射により初期には骨芽細胞の増殖率の抑制が生じるが, 照射後36時間以降において, 照射群は対照群よりも高い増殖率を維持することが明らかとなった.
ISSN:0385-0137