27. 重度重複障害児の呼吸に関する研究(第3報)-夜間酸素飽和度モニタリングと酸素療法
重度重複障害児30名につきパルスオキシメーターを午前2時を中心に平均9時間15分装着し, 夜間の動脈血酸素飽和度を測定した. この結果, 全有効記録時間のうち, SaO2が90%以下(厚生省呼吸不全調査班による慢性呼吸不全の基準値:PaO2が60torr以下に対応するSaO2値)の低酸素状態の時間が1割以上を占めるのは30例中20例(約67%)にみられた. 重度重複障害児では, 夜間低酸素状態を示すものがかなりいる可能性がある. また慢性の低酸素状態が患児の病態や, 予後に強い影響を及ぼしている可能性も考えられる. 夜間, これらの患児の呼吸状態をパルスオキシメーターでモニタリングすることは,...
Saved in:
Published in | リハビリテーション医学 Vol. 25; no. 5; p. 354 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.09.1988
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
Cover
Summary: | 重度重複障害児30名につきパルスオキシメーターを午前2時を中心に平均9時間15分装着し, 夜間の動脈血酸素飽和度を測定した. この結果, 全有効記録時間のうち, SaO2が90%以下(厚生省呼吸不全調査班による慢性呼吸不全の基準値:PaO2が60torr以下に対応するSaO2値)の低酸素状態の時間が1割以上を占めるのは30例中20例(約67%)にみられた. 重度重複障害児では, 夜間低酸素状態を示すものがかなりいる可能性がある. また慢性の低酸素状態が患児の病態や, 予後に強い影響を及ぼしている可能性も考えられる. 夜間, これらの患児の呼吸状態をパルスオキシメーターでモニタリングすることは, 予後の改善や, 日常ケアを行う上で重要である. 夜間低酸素症の解析にはポリグラフが有用である. 我々は, これら夜間低酸素症に対し, 閉塞性のものに対しては, 体位の工夫や, 鼻咽頭チューブ等で, また中枢性のものに対しては在宅酸素療法を適用し, 一般状態の改善, 体重の増加を図っている. 今回は, 在宅酸素療法が有効であった3歳男児中で枢性呼吸障害を伴う重複障害児例を紹介した. 質問島根県立中央病院木佐俊郎:スリープアプネアに対しては薬物療法ではなくて, 夜間の酸素投与をされた理由, および酸素投与をいつまで続けるのか. 質問 都立北療育医療センター 廿楽重信:(1)重症心身障害児でも平素は呼吸がへたなりにhomeostasisでうまく環境にそれなりに適応していると思われる. そう酸素を使用する意味はないのでは? (2)今の答をきいていると, 肺炎等の肺疾患をもつた小児と考えられる. この場合は肺疾患に対する酸素使用であって. 先生の発表とニュアンスが違うのではないか. 質問 城北分園 山形恵子:重度重複児で, 呼吸障害のある例は, 夜間だけでなく, 日中も問題があると思いますが, いかがですか. 答 長博雪:(1)O2療法の継続期間:3-6ヵ月を目やすにO2をoffにしてSaO2のモニタリングを行い, よければoffを検討する. (2)これらの児の屋内の呼吸状態について ; パルスオキシメーターの特性として, 体動に対して弱く, 連続記録としては行っていない. 一昨年の本学会では約1/3の例にPaO2が80torr以下の低酸素血症が存在することは報告した. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |