17.重度口腔顔面失行により,摂食・嚥下障害をきたした1症例

【はじめに】重度口腔顔面失行により, 摂食, 嚥下障害をきたした1症例を報告する. 【症例】39歳, 女性. 【現病歴】2001年発症の右中大脳動脈(MCA)領域の脳梗塞による後遺症で左片麻痺(重度)が残存. 2005年2月15日左中大脳動脈(MCA)領域の脳梗塞を発症. 初診医で血栓溶解術施行後, 右麻痺(軽度)は残存し, 発語障害, 嚥下障害も認めた. 病棟内, 車椅子使用で経管栄養の準備以外のADLはほぼ自立. 3月31日リハ目的で転院. 【経過と考察】転院時, 意図的場面で口の開閉困難で, 舌の動き殆ど認めず, 食塊を口腔内に保持し, 咽頭へのおくり込みが困難な状態だが, 非意図的な場...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 42; no. 11; p. 794
Main Authors 横井寛士, 吉田直樹, 高橋守正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.2005
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【はじめに】重度口腔顔面失行により, 摂食, 嚥下障害をきたした1症例を報告する. 【症例】39歳, 女性. 【現病歴】2001年発症の右中大脳動脈(MCA)領域の脳梗塞による後遺症で左片麻痺(重度)が残存. 2005年2月15日左中大脳動脈(MCA)領域の脳梗塞を発症. 初診医で血栓溶解術施行後, 右麻痺(軽度)は残存し, 発語障害, 嚥下障害も認めた. 病棟内, 車椅子使用で経管栄養の準備以外のADLはほぼ自立. 3月31日リハ目的で転院. 【経過と考察】転院時, 意図的場面で口の開閉困難で, 舌の動き殆ど認めず, 食塊を口腔内に保持し, 咽頭へのおくり込みが困難な状態だが, 非意図的な場面では, ため息や笑顔が見られ, 無意識的な唾液嚥下が可能. 重度口腔顔面失行による摂食, 嚥下障害と考えられた. 直接訓練等により, スプーンを口に運ぶと同時に開口可能となり, 口腔期の改善により咀嚼, 嚥下が自動的に行えるようになった. さらに, 食形態, 摂食方法の工夫により臨床上, 明らかな誤嚥は認めず1日必要量を経口摂取可能となり, チューブフリーとなる. 当症例では, 訓練, 摂食方法の工夫により, 食事に関するQOLは改善したと考えられた.
ISSN:0034-351X