25. 脳性麻痺児に対する骨盤骨切り術の小経験

【目的】脳性麻痺児ではしばしばその経過中に, 股関節亜脱臼が発生し, 同時に臼蓋形成不全を認める. 股関節亜脱臼に対しては, 筋解離術や筋腱移行術なども行われているが, 我々は同時に骨盤骨切り術を施行し, それが患児に与えた影響を調査した. 【方法】症例は8例10関節であり, 男5例6関節, 女3例4関節であった. Salter手術6例8関節, Chiari手術2例2関節であった. 手術時年齢は6~18歳, 平均11歳であり, 術後経過期間は7~66ヵ月, 平均では34ヵ月であった. 全例痙直型であり, diplegia 5例7関節, tetraplegiaは3例3関節であった. 【結果】術前...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 26; no. 5; pp. 369 - 370
Main Authors 本田恵, 田沢睦男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1989
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】脳性麻痺児ではしばしばその経過中に, 股関節亜脱臼が発生し, 同時に臼蓋形成不全を認める. 股関節亜脱臼に対しては, 筋解離術や筋腱移行術なども行われているが, 我々は同時に骨盤骨切り術を施行し, それが患児に与えた影響を調査した. 【方法】症例は8例10関節であり, 男5例6関節, 女3例4関節であった. Salter手術6例8関節, Chiari手術2例2関節であった. 手術時年齢は6~18歳, 平均11歳であり, 術後経過期間は7~66ヵ月, 平均では34ヵ月であった. 全例痙直型であり, diplegia 5例7関節, tetraplegiaは3例3関節であった. 【結果】術前に独歩可能であった者は3人であり, 2本松葉杖による歩行は2人, 車椅子歩行1人, 四つ這いが1人, 肘這いによる移動が1人であった. 術前の活動性は, 健常人に比し低下しているにも拘らず, 全例疼痛を訴えた. 術後には2本松葉杖による歩行をしていた者が, 独歩可能となった以外には, 移動方法は変化しなかった. しかし, 全員疼痛の緩解を認め, 術前に独歩可能であった1人で歩容の改善を認めた. 強い痙性麻痺を認めた1例にSalter手術を施行したところ, 移植骨片が脱転した. 本症例は14歳, 17歳で手術を受けており, このように強い痙性を示す症例では, できるだけ早期に発見して対処したほうが良いと思われた. 質問 高知県立子鹿園 江口寿栄夫:起立, 歩行できないような脳性麻痺患者で股関節の訴えは疼痛であろうから, 骨手術しなくても軟部手術だけでも疼痛はとれるのではないでしょうか. 機能の向上があって起立, 歩行できればよいのですが. 答 本田恵:前にpsoasとadductorのreleaseをしている症例で, 疼痛の緩解が得られなかったために本法を施行した.
ISSN:0034-351X