C-3 胃腺腫・早期胃癌の内視鏡的切除後に胃体部の狭窄をきたした一例

症例は79歳男性. 平成17年2月以来, 早期胃癌1病巣(体下部後壁), 胃腺腫2病巣(前庭小わん, 体下部前壁)の内視鏡的切除を受けていた. 平成18年8月, さらに胃体部小わんに広範囲の白色扁平隆起(Group III)を認め, 11月6日に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行い, 9×5cmの切片(胃腺腫)を切除した. 治療は顕出血や穿孔無く終了し, 1週後の潰瘍経過も良好であったが, その後, 徐々に通過障害を生じ, 摂食困難のため再入院となった. 12月8日の内視鏡検査にて, 胃内の食物残存と体下部の狭窄を認めたため, 内視鏡的バルーン拡張術を行い, 通過の改善が得られた. ESD後...

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Published in山口医学 Vol. 55; no. 6; p. 205
Main Authors 隅田 恵, 柳井秀雄, 谷岡ゆかり, 坂口栄樹, 祐徳浩紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.12.2006
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Summary:症例は79歳男性. 平成17年2月以来, 早期胃癌1病巣(体下部後壁), 胃腺腫2病巣(前庭小わん, 体下部前壁)の内視鏡的切除を受けていた. 平成18年8月, さらに胃体部小わんに広範囲の白色扁平隆起(Group III)を認め, 11月6日に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行い, 9×5cmの切片(胃腺腫)を切除した. 治療は顕出血や穿孔無く終了し, 1週後の潰瘍経過も良好であったが, その後, 徐々に通過障害を生じ, 摂食困難のため再入院となった. 12月8日の内視鏡検査にて, 胃内の食物残存と体下部の狭窄を認めたため, 内視鏡的バルーン拡張術を行い, 通過の改善が得られた. ESD後の通過障害は, 食道や胃幽門部で報告されているが, 径の大きい胃体部では稀である. 本症例では, 複数部位の切除と広範囲切除の結果, 狭窄を来たしたものと考えられた. 胃ESDの偶発症としての狭窄の興味深い一例と考え, 報告する.
ISSN:0513-1731