8.嚥下障害による経腸栄養症例における微量元素の動向-特にZn,Cnに注目しての検討
PEG造設が簡易になり, 嚥下障害症例においての安全な栄養管理は可能になっている. 今回, 経腸栄養症例における微量元素の動向を調査し, 若干の知見を得られたので報告する. 【対象と方法】CVAにより嚥下障害を来たし, 同一の経腸栄養剤を3ヵ月以上投与した1,000Cal/dayの症例20例を対象とした. また, 年齢は66~94歳(平均78.9歳), 使用経腸栄養剤はF2α:10例, L-6:10例であり, 全例, 褥瘡(-), PEG以外の消化器手術(-)を対象とした. 【結果】投与したF2α, L-6とも亜鉛, 銅とも所要量を満たす程度に含有されているにもかかわらず, 血清Znは正常から...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 42; no. 5; p. 336 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.05.2005
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | PEG造設が簡易になり, 嚥下障害症例においての安全な栄養管理は可能になっている. 今回, 経腸栄養症例における微量元素の動向を調査し, 若干の知見を得られたので報告する. 【対象と方法】CVAにより嚥下障害を来たし, 同一の経腸栄養剤を3ヵ月以上投与した1,000Cal/dayの症例20例を対象とした. また, 年齢は66~94歳(平均78.9歳), 使用経腸栄養剤はF2α:10例, L-6:10例であり, 全例, 褥瘡(-), PEG以外の消化器手術(-)を対象とした. 【結果】投与したF2α, L-6とも亜鉛, 銅とも所要量を満たす程度に含有されているにもかかわらず, 血清Znは正常からやや不足の傾向にあり, 血清Cuは正常からやや過剰という結果が得られ, 2種類のあいだに差異は認められなかった. 全症例を通して, 血清Znは65±15.4μg/dl, 血清Cuは120.7±21.7μg/dlであった. また, Cu/Zn比は1.97±0.63(正常0.7~2.01)と相対的に血清Cu値は高値を呈していた. 【考察】Cuの過剰投与によりZnの吸収が阻害されるという報告もあり, 現在, 亜鉛, 銅比についての検討が必要という報告も散見される. 今回, 調査した症例においては, 褥瘡もなく, 亜鉛が消費されているとは考えにくく, 銅との比率などが問題となっているのではないかと予想された. |
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ISSN: | 0034-351X |