2.難治性慢性動脈閉塞性疾患に対する自家骨髄幹細胞移植の有用性

患者は60歳の男性. 6年前より左手の末稍循環障害症状が出現しビュルガー病と診断された. 血管拡張剤と高気圧酸素療法を受けていたが治療2ヶ月後左手第II-IV指の血流不全が悪化し両側の胸腔鏡下胸部交感神経節焼灼術を受けた. この際右肺は癒着が強く, 十分な交感神経節焼灼が行えなかった. 3ヶ月後, 冷感 しびれ 安静時痛は両下肢にも出現し, 右の腰部交感神経節ブロックを受けた. 4ヶ月後, 壊死に陥った左手指と右足趾の切断術を受けた. その後はリマプロストの内服で経過は良好であった. 症状初発から5年後より再度左第V指と両下肢にしびれ感と安静時痛が出現し, 自家骨髄幹細胞移植が計画された. 全...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 4; p. 427
Main Authors 河原邦枝, 佐々木正行, 齋藤繁, 後藤文夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.11.2003
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Summary:患者は60歳の男性. 6年前より左手の末稍循環障害症状が出現しビュルガー病と診断された. 血管拡張剤と高気圧酸素療法を受けていたが治療2ヶ月後左手第II-IV指の血流不全が悪化し両側の胸腔鏡下胸部交感神経節焼灼術を受けた. この際右肺は癒着が強く, 十分な交感神経節焼灼が行えなかった. 3ヶ月後, 冷感 しびれ 安静時痛は両下肢にも出現し, 右の腰部交感神経節ブロックを受けた. 4ヶ月後, 壊死に陥った左手指と右足趾の切断術を受けた. その後はリマプロストの内服で経過は良好であった. 症状初発から5年後より再度左第V指と両下肢にしびれ感と安静時痛が出現し, 自家骨髄幹細胞移植が計画された. 全身麻酔下に骨髄液を約500ml採取し遠心分離して50mlの骨髄単核球成分を分離し両手の母指球 小指球および右下腿後面 足底に一箇所あたり0.5-0.7ml筋注した. 治療直後, 1ヶ月後の諸検査ともに異常所見は認められず安静時痛は軽快し, 末稍皮膚温上昇などの治療効果も得られた. このほかに4回自家骨髄幹細胞移植を行ったがいずれも難治性慢性動脈閉塞性疾患の治療法に有用であった.
ISSN:1343-2826