NO.3 炎症性痛覚過敏における神経成長因子の役割
神経成長因子(NGF)は脊髄後根神経節, 膠様質に局在し末梢神経損傷後に誘導される. 炎症mediatorで誘導され痛覚過敏へ関与する可能性があるが, セロトニン(5-HT)とNGFとの相互作用を検討したものはない. Mustard oil(MO)をラット後肢皮下注入する痛覚過敏モデルで, 5分毎60分間の後肢flinchingを観察した. MO注入後のflinching増加はmorphineで完全に, また5-HT2A阻害薬では中等度に抑制しその作用はα-methyl-5-HTで拮抗されたがanti-NGF併用で影響しなかった. 一方, NGF合成誘導剤(4MC)はflinchingを増強し...
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Published in | 山口医学 Vol. 53; no. 3; p. 186 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
30.06.2004
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Summary: | 神経成長因子(NGF)は脊髄後根神経節, 膠様質に局在し末梢神経損傷後に誘導される. 炎症mediatorで誘導され痛覚過敏へ関与する可能性があるが, セロトニン(5-HT)とNGFとの相互作用を検討したものはない. Mustard oil(MO)をラット後肢皮下注入する痛覚過敏モデルで, 5分毎60分間の後肢flinchingを観察した. MO注入後のflinching増加はmorphineで完全に, また5-HT2A阻害薬では中等度に抑制しその作用はα-methyl-5-HTで拮抗されたがanti-NGF併用で影響しなかった. 一方, NGF合成誘導剤(4MC)はflinchingを増強しその作用はanti-NGFで拮抗されたが, 5-HT2A阻害薬では軽微な抑制に留まった. 以上から, 1)痛覚過敏はopioidに加え5HT2A阻害薬で抑制された. 2)4MCの痛覚過敏増強作用はanti-NGFで拮抗されたことからNGFの関与が判明した. 3)5-HT神経は細胞の再生, 分化誘導を促し機能回復を促進する可能性がある. しかしNGFによる疼痛過敏は5HT2A阻害薬で拮抗されず, 知覚神経系の過敏発現おけるNGFの増強因子としての役割に5HT神経活性との相互作用は明らかではない. |
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ISSN: | 0513-1731 |