ラットにおける体性一副交感神経反射の存在について

体性‐副交感神経反射により口腔領域の血管拡張反応が起こることはネコ, サル, ウサギらについては報告されているが, ラットに関してはない. そこで本実験では, ラットにおける体性‐副交感神経反射を介した血管拡張反応の存在の有無を顎下腺にて検討した. 【方法】実験には, ウレタン, クロラロース麻酔, 人工呼吸下のラットを用いた. 舌神経に中枢性の電気刺激を与え, そのときの顎下腺, 口蓋, 口唇の血流変化をレーザードップラー血流計にて測定した. 【結果, 考察】ductをchorda-lingual nerveとの分岐部付近で切断しても舌神経刺激による顎下腺の血流増加反応が見られた. chor...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 499
Main Authors 水田健太郎, 和泉博之, 刈田啓史郎, 斉藤峻, 真柳秀昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.08.1999
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:体性‐副交感神経反射により口腔領域の血管拡張反応が起こることはネコ, サル, ウサギらについては報告されているが, ラットに関してはない. そこで本実験では, ラットにおける体性‐副交感神経反射を介した血管拡張反応の存在の有無を顎下腺にて検討した. 【方法】実験には, ウレタン, クロラロース麻酔, 人工呼吸下のラットを用いた. 舌神経に中枢性の電気刺激を与え, そのときの顎下腺, 口蓋, 口唇の血流変化をレーザードップラー血流計にて測定した. 【結果, 考察】ductをchorda-lingual nerveとの分岐部付近で切断しても舌神経刺激による顎下腺の血流増加反応が見られた. chorda-lingual nerveをchordatympaniとの分岐部より近位若しくは遠位で切断した場合, 顎下腺の血流増加反応は見られなくなった. またhexamethonium(10mg/kg)投与によりこの反応は完全に遮断された. 故に, これは舌神経刺激が顎下腺の血管拡張線維を直接刺激しているのではなく, 中枢を介した体性‐副交感神経反射であることが確認された. またこの反応は口蓋及び口唇にも見られたが, 口唇での反応は顎下腺と比較すると著しく小さかった.
ISSN:0385-0137