9.終末期看護について感じたこと(膵臓がん末期患者の一事例を通して)

がん医療における告知後ケアの重要性は改めて言うまでもないが, その具体的な介入のしかたの明確な指針も見当たらない. しかも, 病名告知に比べ, 治癒不能であることの告知に伴う精神的衝撃は, いっそう大きなものであるにちがいないが, 告知後ケアのないまま告知されるケースが増えているように思う. 治癒不能である膵臓がん患者への告知に際し, 告知後ケアが十分でないと感じられた事例を経験し, その原因について考察したので報告する. 事例は64歳女性. 切除不能であることを告げられ, 本人の意思に基づいて化学療法が導入された. 経過中, 患者自らが苦悩を表出していたにもかかわらず, 看護スタッフはそのサ...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 3; p. 339
Main Authors 岡田さおり, 星野まつの, 桜沢美由紀, 星優子, 宮沢紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.08.2003
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Summary:がん医療における告知後ケアの重要性は改めて言うまでもないが, その具体的な介入のしかたの明確な指針も見当たらない. しかも, 病名告知に比べ, 治癒不能であることの告知に伴う精神的衝撃は, いっそう大きなものであるにちがいないが, 告知後ケアのないまま告知されるケースが増えているように思う. 治癒不能である膵臓がん患者への告知に際し, 告知後ケアが十分でないと感じられた事例を経験し, その原因について考察したので報告する. 事例は64歳女性. 切除不能であることを告げられ, 本人の意思に基づいて化学療法が導入された. 経過中, 患者自らが苦悩を表出していたにもかかわらず, 看護スタッフはそのサインに気づくことができなかった. 退院後, スタッフ間の会話の中から患者の苦悩表出のサインにはじめて気づいたものが多かったが, スタッフの中には, サインに気づきながらも, 受けとめかたかわからず, 結果的に気づかないふりをしてしまったケースもあった.
ISSN:1343-2826