2.脊髄損傷者の復職・就労の実態と問題点について

新潟県内における脊髄損傷者の実態と問題点については, 今までも本学会において報告してきたが, 今回は在宅脊損者の主に復職, 就労の状況について, 家庭訪問等により詳しく調べ得たケースを中心に就労の実態と問題点について報告する. 対象は新潟県内の在宅脊損者516名で, 男性432名, 女性84名と男性が83.7%を占める. 損傷部分では頸髄損傷224名(43.4%), 胸髄損傷99名(19.2%), 腰髄損傷193名(37.4%)で諸家の報告と同様, 頸損者の占める比率が高くなっており, 就労の困難性の一因となっている. 受傷原因では, 高所転落が145名(28.1%)と多く, 次いで交通事故1...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 21; no. 5; p. 293
Main Authors 佐藤豊, 北村由紀子, 村岡幹夫, 隅田俊子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1984
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Summary:新潟県内における脊髄損傷者の実態と問題点については, 今までも本学会において報告してきたが, 今回は在宅脊損者の主に復職, 就労の状況について, 家庭訪問等により詳しく調べ得たケースを中心に就労の実態と問題点について報告する. 対象は新潟県内の在宅脊損者516名で, 男性432名, 女性84名と男性が83.7%を占める. 損傷部分では頸髄損傷224名(43.4%), 胸髄損傷99名(19.2%), 腰髄損傷193名(37.4%)で諸家の報告と同様, 頸損者の占める比率が高くなっており, 就労の困難性の一因となっている. 受傷原因では, 高所転落が145名(28.1%)と多く, 次いで交通事故122名, 疾病73名, 重量物の下敷41名の順であった. 労働災害によるものは113名(21.9%)である. 受傷前の職業は土木建築, 運転手が135名(26.2%), 農業123名, 会社員116名の順であった. 2年前の調査では受傷後就労していたものは, 76名(14.7%)にすぎず, それも半数は不全麻痺の者であり, 身体障害者手帳の1, 2級の者(全体の78%を占める)で就労している者は, 42名(8.1%)と非常に少なかった. 今回は今までの調査に加えて, 在宅脊損者で新潟市近郊において就労しているものを中心に, 家庭訪問を行い, 就労の状況, 仕事の内容, 労働の時間, 収入, 家庭環境等について調査を行い, 脊髄損傷者の就労の条件, 職種, 収入等の問題について検討を加えて報告した.
ISSN:0034-351X