1. 心房頻拍症に対するEnsiteの有用性について

Non-contact mapping法(Ensite)は血行動態が不安定な頻拍, 持続時間が短い頻拍, 多形性頻拍などに有用であるとされている. 今回, 心房頻拍のアブレーション時に, Ensiteが有用であった症例を報告する. 症例1は58歳, 女性. 4年前より動悸, 眼前暗黒感を認めるようになった. 持続時間は短いものの, 症状が強いため近医を受診した. 抗不整脈薬投与により加療を受けるも改善しないため当院に紹介となった. 発作時の心電図では心房頻拍が疑われたため心臓電気生理検査を施行することとした. 心房頻拍は容易に誘発され, 最早期興奮部位は高位右房であったが, 頻拍の持続時間が短...

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Published in山口医学 Vol. 57; no. 4; p. 115
Main Authors 木村征靖, 小川宏, 分山隆敏, 岩見孝景, 波多野靖幸, 望月守, 白石宏造, 内田耕資, 清水昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.08.2008
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Summary:Non-contact mapping法(Ensite)は血行動態が不安定な頻拍, 持続時間が短い頻拍, 多形性頻拍などに有用であるとされている. 今回, 心房頻拍のアブレーション時に, Ensiteが有用であった症例を報告する. 症例1は58歳, 女性. 4年前より動悸, 眼前暗黒感を認めるようになった. 持続時間は短いものの, 症状が強いため近医を受診した. 抗不整脈薬投与により加療を受けるも改善しないため当院に紹介となった. 発作時の心電図では心房頻拍が疑われたため心臓電気生理検査を施行することとした. 心房頻拍は容易に誘発され, 最早期興奮部位は高位右房であったが, 頻拍の持続時間が短いためEnsiteを用いてmappingを施行した. 頻拍の起源は洞結節上方であったが, 同部位からのページングにて横隔神経刺激を認めるため通電は困難であった. 興奮が前壁側へ向かうため, 頻拍起源よりも前方で横隔神経刺激を認めない部位にて通電することにより, 頻拍は誘発されなくなった. Ensiteにて心房頻拍の興奮伝播様式を解析することにより, 頻拍の根治に至った症例であった. 症例2は64歳, 男性. 労作時の胸苦のため受診. 運動負荷試験にて症状に一致したnarrow QRS tachycardiaが誘発された. 心臓電気生理検査では3つの左房起源の心房頻拍が誘発された. 左房にEnsiteを留置してmappingを行ったところ, 最初の心房頻拍の起源は左房前中隔であり, 同部位の通電により誘発不能となった. 次に右上肺静脈起源(RSPV)の心房頻拍が誘発されたため, RSPVのisolationを行った. 更に左心耳起源の心房頻拍が誘発され同部位に対しても通電し, 心房頻拍は誘発されなくなり終了とした. 持続時間の短い頻拍や多源性の頻拍に対してEnsiteの使用が有用であった.
ISSN:0513-1731