歯科基礎医学とモデル・コア・カリキュラム はじめに

本シンポジウムのねらいは, 歯科基礎医学の卒前教育に, 歯学教育モデル-コア-カリキュラムはどう位置付けされるのか, である. 歯学教育モデル-コア-カリキュラムの今日的意義とは, (1)歯学教育のグローバル化への対応策である. EU内で近い将来作られると予想される, EU内基準としてのコア-カリキュラムや, Part I, IIをすでに実施している米国の現状を考えれば, 歯学教育の国際基準の出現はそう遠い将来ではない. それを見越しての日本の国内基準作りの意味がある. (2)医学教育モデル-コア-カリキュラムと歩調を合わせた. 医学的に複雑な問題を抱えた患者の歯科治療ができるためには, 歯学...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 366
Main Author 江藤一洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
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Summary:本シンポジウムのねらいは, 歯科基礎医学の卒前教育に, 歯学教育モデル-コア-カリキュラムはどう位置付けされるのか, である. 歯学教育モデル-コア-カリキュラムの今日的意義とは, (1)歯学教育のグローバル化への対応策である. EU内で近い将来作られると予想される, EU内基準としてのコア-カリキュラムや, Part I, IIをすでに実施している米国の現状を考えれば, 歯学教育の国際基準の出現はそう遠い将来ではない. それを見越しての日本の国内基準作りの意味がある. (2)医学教育モデル-コア-カリキュラムと歩調を合わせた. 医学的に複雑な問題を抱えた患者の歯科治療ができるためには, 歯学教育における医学教育の在り方の再検討が必要であること, また歯科基礎医学は, 例えば解剖学の場合, 総論, 各論, 口腔解剖学という現在の仕分けの整理を今後どうするのかという問題を検討していくには, 医学教育との連携は必須である. (3)各学問領域の壁を越えて学ぶ側に立脚し, 良医養成を目指す方向で作成した. これは学問領域内の学識と学問領域外の学識を初めて衝突させたことを意味する. (4)モデル-コア-カリキュラムの成果を評価するために, 共用試験を導入した. 本シンポジウムにおいては, 以上4点を踏まえて, さらにはリサーチマインドを持った歯科医師の養成にどう応えていくのかも歯科基礎医学教育担当者の責任であることを考慮に入れて, 歯科基礎医学教育の今後の方向性について, 議論を進めていきたい.
ISSN:0385-0137