人畜共通感染症と健康問題

「はじめに」人類が狩猟生活から, 農業を発見し集団生活を営み, 動物を家畜として身近に飼育するようになった頃から, 人々は動物からうつる病気を知っており, 何らかの対策を講じていたことは, 現在でも「ある特定の動物を食べてはいけない」とする宗教上の風習があることからもうかがうことができる. ヒトと動物との間を自然に移行する感染症が人畜共通感染症であるが, 一般的には動物からヒトへの感染が問題となる. 病原体としては, ウイルス, リケッチャ, クラミジア, 細菌, 真菌, 原虫, 寄生虫など100種類以上の病原体が知られている. 昭和40年頃までの日本人は人畜共通感染症のうち, 特に寄生虫は国...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 50; no. suppl; pp. 50 - 51
Main Author 明石光伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 25.03.2002
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ISSN0468-2513

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Summary:「はじめに」人類が狩猟生活から, 農業を発見し集団生活を営み, 動物を家畜として身近に飼育するようになった頃から, 人々は動物からうつる病気を知っており, 何らかの対策を講じていたことは, 現在でも「ある特定の動物を食べてはいけない」とする宗教上の風習があることからもうかがうことができる. ヒトと動物との間を自然に移行する感染症が人畜共通感染症であるが, 一般的には動物からヒトへの感染が問題となる. 病原体としては, ウイルス, リケッチャ, クラミジア, 細菌, 真菌, 原虫, 寄生虫など100種類以上の病原体が知られている. 昭和40年頃までの日本人は人畜共通感染症のうち, 特に寄生虫は国民の90%が感染していたといわれ, 結核と共に国民病といわれていたが, 公衆衛生設備や医学の進歩, さらに教育などの普及により, 急速に減少し, 過去の遺物とさえ考えられるようになった. しかし, 我が国の社会経済の発展に伴い, これらの疾患はにわかに変貌し始めた.
ISSN:0468-2513