B-6.歯周疾患罹患歯の露出根面への歯垢微生物付着に関する研究-とくにin vitroでのスケーリング面およびルートプレーニング面に対する人工歯垢形成について
Root planingの意義を明らかにする一助として, 今回演者らはScalingのみを施した歯根面とRoot planingまで行った歯根面に対し, 根面性状を検討する目的で, Streptococcus mutans を指標とした初期の人工歯垢の形成過程がどのように影響されるかを検討した. Attachment lossが5mm以上の歯周疾患罹患抜去歯を用い, 両隣接面において超音波スケーラー(リッター社製, 40KリッタートロンE, チップ;R-10)にて肉眼的に見える歯石を除去し, Scaling面とした. さらにScaling後, 一方の隣接面に対してRoot planingを手用...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 26; no. 3; pp. 623 - 624 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯周病学会
28.09.1984
特定非営利活動法人日本歯周病学会 The Japanese Society of Periodontology |
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ISSN | 0385-0110 |
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Summary: | Root planingの意義を明らかにする一助として, 今回演者らはScalingのみを施した歯根面とRoot planingまで行った歯根面に対し, 根面性状を検討する目的で, Streptococcus mutans を指標とした初期の人工歯垢の形成過程がどのように影響されるかを検討した. Attachment lossが5mm以上の歯周疾患罹患抜去歯を用い, 両隣接面において超音波スケーラー(リッター社製, 40KリッタートロンE, チップ;R-10)にて肉眼的に見える歯石を除去し, Scaling面とした. さらにScaling後, 一方の隣接面に対してRoot planingを手用スケーラー(Hu-Friedy社製, Gracey curettes, Rigid-type#5, #6)にて術者が意図的に滑沢になるまで行いRoot planing面とした. 根面は輪郭形状測定器により表面粗さを測定した後SEMにて表面観察を行った. 人工歯垢形成実験では, S. mutans IB株を5%Sucrose加TSM培地に加え, 試片浸漬後SEMにて付着状況を観察した. その結果, 1. 表面粗さはScaling面の方がRootplaning面より, 有意(p<0.001)に粗かった. 2. SEM観察においてScaling面は凹凸を示すセメント質様構造を示し, 残存歯石と思われる像が認められ, 全体像として粗造な様相を示した. 一方, Root planing面はほとんど象牙質様構造を示し, ほぼ均一な像として観察された. 3. 人工歯垢形成のSEM観察において, 培養1,3時間まではScaling面のほうが, S. mutans 株の付着数が多く, コロニーの発育度も高い様な像が観察された. 培養5,7時間では付着数の増加, コロニーの発育がみられるが, 両処置面間に差はみられなかった. 唾液処理を施したScaling面, Rootplaning面では, 1,3,5,7時間いずれの培養時間でも, 両処置面間においてS. mutans株の付着数やコロニーの発育度に差異はないようであった. 〔質問〕(岡大予)渡辺達夫 非常に興味深く拝聴した. ルートプレーニング等の揚合, 歯肉縁下を行う場合が多い. 唾液は歯肉溝内に侵入しないといわれている. その点, 唾液処理の意義は何か?〔解答〕(日大歯)田中宏司 唾液処理をしたSC面, RP面の試片において菌付着数および様態に差はないように思われる. 今後菌数を数えて検討する予定である. . 滲出液を使用して実験するのが臨床的には理想だが実験の第一歩として唾液をコーティングして本実験を行った. |
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ISSN: | 0385-0110 |