A-26.ルートプレーニング時の周波数分析と歯根表面の性状観察

ポケット内に露出したセメント質について, 化学的, あるいは形態学的な性質が明らかになるに従い, これらの露出したセメント質を取り除く, 生物学的方法として, また歯根面の滑沢化のためにも, ルートプレーニングの意義は重要である. しかしこのような大きな意義にもかかわらず日常臨床において, ルートプレーニングが確実に行なわれたかどうかの目安となるべく基準はなく, その客観的評価法の報告はない. 我々は本学会において, ルートプレーニング後の根面の状態を客観的に評価する一助として, ルートプレーニング時に発生する擦過音に着目し, ルートプレーニング開始時および終了時の擦過音の周波数分析を行ない,...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 26; no. 3; p. 606
Main Authors 鈴木基之, 安藤芳明, 斉藤衛, 山崎勝次郎, 大倉博顕, 宮下元, 長谷川紘司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯周病学会 28.09.1984
特定非営利活動法人日本歯周病学会
The Japanese Society of Periodontology
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ISSN0385-0110

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Summary:ポケット内に露出したセメント質について, 化学的, あるいは形態学的な性質が明らかになるに従い, これらの露出したセメント質を取り除く, 生物学的方法として, また歯根面の滑沢化のためにも, ルートプレーニングの意義は重要である. しかしこのような大きな意義にもかかわらず日常臨床において, ルートプレーニングが確実に行なわれたかどうかの目安となるべく基準はなく, その客観的評価法の報告はない. 我々は本学会において, ルートプレーニング後の根面の状態を客観的に評価する一助として, ルートプレーニング時に発生する擦過音に着目し, ルートプレーニング開始時および終了時の擦過音の周波数分析を行ない, 周波数成分に変化が生ずることを報告した. 今回, 我々は, ルートプレーニング前後の擦過音の変化が歯根表面の形態学的性状とどのような関係を有するかを知る目的で, 歯周疾患罹患抜去歯10歯にスケーリングを行なったのち, ルートプレーニングを行い, 開始時および終了時の周波数分析および, 表面性状測定, 走査電顕観察, 光顕観察を行った. 周波数分析結果は, 前回までと同様に周波数成分に変化が見られた. その際の表面性状は中心線平均粗さで, 開始時587±2.62μm, 終了時2.72±0.79μmとなり, 粗さ曲線上でも, 終了時には, 平坦な面を呈していた. 走査電顕像でも同様に開始時, 多数の条痕が認められたのに対し, 終了時では条痕も浅くなり, 平坦な面が観察された. 歯根縦断研磨標本の光顕所見では, 終了時に象牙質の露出の見られた歯根面が増加していた. 以上の結果により, 擦過音の変化は歯根表面性状と関連があると思われた. また, 擦過音の変化がルートプレーニング終了の客観的評価の一助となるように思われた.
ISSN:0385-0110