9.当院における腰椎椎間板ヘルニアの治療方針について

腰椎椎間板ヘルニアの治療は, その病態のほかにも患者の社会的状況や性格といった因子もあり, 一様ではないが, 当院での治療選択について述べてみたい. 当院では基本的に, 2-3ヶ月ほどの外来治療にて軽快しない患者を手術対象としている. なお疼痛発作で入院した患者には1-2週間の安静投薬を行い, 軽快しないものにはその間に精査を加えている. 手術は責任椎間に特に不安定性のない, 圧迫因子が髄核主体のものは, おもにいわゆるLove法を施行している. また正中ヘルニアや巨大なヘルニア, 骨棘を伴なう例に対しては椎弓形成術を応用している. 再発ヘルニアの中で, 初回侵襲が少ないと考えられるものに対し...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 1; p. 61
Main Authors 原和比古, 柘植和郎, 小林敏彦, 小野庫史, 田中宏志, 小野秀樹, 船戸貴宏, 割田敏朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2004
Kitakanto Medical Society
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ISSN1343-2826

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Summary:腰椎椎間板ヘルニアの治療は, その病態のほかにも患者の社会的状況や性格といった因子もあり, 一様ではないが, 当院での治療選択について述べてみたい. 当院では基本的に, 2-3ヶ月ほどの外来治療にて軽快しない患者を手術対象としている. なお疼痛発作で入院した患者には1-2週間の安静投薬を行い, 軽快しないものにはその間に精査を加えている. 手術は責任椎間に特に不安定性のない, 圧迫因子が髄核主体のものは, おもにいわゆるLove法を施行している. また正中ヘルニアや巨大なヘルニア, 骨棘を伴なう例に対しては椎弓形成術を応用している. 再発ヘルニアの中で, 初回侵襲が少ないと考えられるものに対しても椎弓形成術で対応している. 不安定性を伴うものや再発例で広範な除圧を必要とするものには固定術を併用している. 平成14年6月から平成15年1月までの8ヶ月間の集計では, 脊椎手術82件中ヘルニアが主病名のものが35件あり, 初回手術は30件で, うち21件がLove法, 7件が椎弓形成術, 2件が開窓術であった. 開窓術の1件に固定術も施行されている. 再発例に対しては椎弓切除に固定術を加えたものが2件あり, 1件は固定椎間の上位隣接椎間再発で, もう1件は片側椎弓形成術後の対側再発であった. 形成術で対応したものが3件でいずれもLove法であった. 前回術後35年, 20年, 8年と比較的長期の再発で3件とも同側再発であった. 以上について具体例を供覧しながら説明したいと思う.
ISSN:1343-2826