培養骨芽細胞様細胞の石灰化におよぼすビスフォスフォネートの作用

ビスフォスフォネート(BP)は骨粗髪症の治療薬として臨床応用されている薬剤である. しかしBPの骨芽細胞に対する効果について不明な点が多い. そこで今回はクロドロネート(CIBP)の骨芽細胞様細胞の石灰化におよぼす作用をin vitroの系で検索した. 5週令のウィスター系ラットの大腿骨および脛骨から採取した骨髄細胞を用い, 10FBS+αMEM, 10nMデキサメタゾン, 1mMβ-グリセロフォスフェートおよび0.2mMアスコルビン酸にて14日間培養を行い, 後半の7日間にCIBPを1×10-7~1×10-14Mの濃度で培地中に添加した. 14日間の培養後, 石灰化結節ならびにアルカリフォス...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 421
Main Authors 堀江大介, 青木和広, 下川仁弥太, 大谷啓一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:ビスフォスフォネート(BP)は骨粗髪症の治療薬として臨床応用されている薬剤である. しかしBPの骨芽細胞に対する効果について不明な点が多い. そこで今回はクロドロネート(CIBP)の骨芽細胞様細胞の石灰化におよぼす作用をin vitroの系で検索した. 5週令のウィスター系ラットの大腿骨および脛骨から採取した骨髄細胞を用い, 10FBS+αMEM, 10nMデキサメタゾン, 1mMβ-グリセロフォスフェートおよび0.2mMアスコルビン酸にて14日間培養を行い, 後半の7日間にCIBPを1×10-7~1×10-14Mの濃度で培地中に添加した. 14日間の培養後, 石灰化結節ならびにアルカリフォスファターゼ(Alpase)陽性細胞の面積を計測した. また, RT-PCR法により, オステオカルシン(BGP)の遺伝子発現量を測定した. 石灰化結節の面積は1×l0-7ならびに1×10-6Mで有意に上昇し, CIBPが骨芽細胞様細胞の石灰化を促進することが示された. 一方, 1×10-5ならびに1×10-4Mでは石灰化結節の面積は減少した. Alpase陽性細胞の面積は各濃度で有意な変化は認められなかった. BGPのmRNA発現量は1×10-7において上昇したが, 1×10-5ならびに1×l0-4Mにおいて抑制が認められた. 以上の結果より, 低濃度のCIBPの石灰化促進作用はBGPの遺伝子発現を伴うことが明らかになった. 高濃度のCIBPの作用はBGPの発現抑制とともに物理化学的に石灰化結節の形成を抑制する可能性が示唆された.
ISSN:0385-0137