22.ペルテス病におけるコンテインメントその意義

60名のペルテス病のX線写真について, 骨頭の中心と臼蓋の中心を求め, 臼蓋縁を結ぶ線に対する垂線が臼蓋中心を通る線を臼蓋軸とした. 外側偏位度CLDは骨頭中心から臼蓋軸までの距離で表し, 骨頭扁平度CEDは骨頭中心より骨端線までの距離とした. 円心円と十字よりなる定規を用いて計測した. ペルテス病の経過は, I期は扁平化期で骨硬化と扁平化であり, II期は内側の非壊死部, 中央の骨吸収と外側の骨新生で, あたかも火口のごとくみえる. III期は骨端線のアーチ形成によるリモデリングにより骨頭は円形となる. 扁平化の型は4型に分類できる. I型は外側の扁平化がなく, 中央の骨硬化を見る. II型...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 21; no. 5; p. 314
Main Authors 福島美歳, 木原清, 岡迪夫, 杉谷晃俊, 高田允克, 池田正三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1984
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Summary:60名のペルテス病のX線写真について, 骨頭の中心と臼蓋の中心を求め, 臼蓋縁を結ぶ線に対する垂線が臼蓋中心を通る線を臼蓋軸とした. 外側偏位度CLDは骨頭中心から臼蓋軸までの距離で表し, 骨頭扁平度CEDは骨頭中心より骨端線までの距離とした. 円心円と十字よりなる定規を用いて計測した. ペルテス病の経過は, I期は扁平化期で骨硬化と扁平化であり, II期は内側の非壊死部, 中央の骨吸収と外側の骨新生で, あたかも火口のごとくみえる. III期は骨端線のアーチ形成によるリモデリングにより骨頭は円形となる. 扁平化の型は4型に分類できる. I型は外側の扁平化がなく, 中央の骨硬化を見る. II型は扁平化外側1/2に限局し, III型は3/4以上に及び, IV型は全体が硬化し縮小する. 年齢, 扁平化の型, 偏位度及び扁平度を要素にしてscoreを出した. 火口形成は9点以下の症例では1年前後で, 10点以上では1年半以上であった. 骨頭径及び骨盤径はI期からII期に増大するが9点以下のものは有意義な増大はない. CLDは火口形成後は増大しなかった. I, II型は骨新生により求心位となるが, III, IV型は骨盤径の増大により骨頭は外側に偏位し, これに適合せんとして骨頭径が増大する. コンテインメントはA-castにより最も確実に得られ, 骨盤径の増大を防ぐ. I, II型は保存的治療でよいが, III, IV型で, 1年以上経過しても高度の外側偏位を示すものは骨切り術の適応といえる. 答 福島美歳:IIIはほとんど初期からAキャストにより外側偏位は防止できた. 3mm以上外側偏位するもの, 例えばIV型では骨切り術, 骨頭が3/4以上臼蓋に被われないものはサルター術が適応となる. 関節造影によりHinged abductionとなるものはやはりサルターが適応と考える. IV型で高年齢(8歳以上)の症例は外側偏位となることが多いので, 早期の骨切り術を考える.
ISSN:0034-351X