コラーゲンゲル内培養骨芽細胞に対する機械的伸展刺激による細胞形態応答
【目的】骨組織が生理的機能を維持するには, 様々な機械的刺激が重要であると考えられている. 本研究では, コラーゲンゲルに封入された骨芽細胞様細胞に機械的刺激を負荷することで起こる細胞形態応答に関して, 細胞骨格変化と細胞接着分子(CD44, インテグリンα2, β1)の局在の変化を検討した. 【方法】Rat頭蓋冠由来の骨芽細胞を, ナイロンメッシュで支持したコラーゲンゲル中に播種し(6×105cells/ml), αMEM+10%FBSで前培養後, 10%の伸展変形を1Hz, 15分間, 1日3回の伸展刺激を断続的に加えた(stretched群). F-アクチンの走行についてはローダミンファ...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 452 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】骨組織が生理的機能を維持するには, 様々な機械的刺激が重要であると考えられている. 本研究では, コラーゲンゲルに封入された骨芽細胞様細胞に機械的刺激を負荷することで起こる細胞形態応答に関して, 細胞骨格変化と細胞接着分子(CD44, インテグリンα2, β1)の局在の変化を検討した. 【方法】Rat頭蓋冠由来の骨芽細胞を, ナイロンメッシュで支持したコラーゲンゲル中に播種し(6×105cells/ml), αMEM+10%FBSで前培養後, 10%の伸展変形を1Hz, 15分間, 1日3回の伸展刺激を断続的に加えた(stretched群). F-アクチンの走行についてはローダミンファロイジン蛍光染色を行い共焦点レーザー顕微鏡像から3次元画像を構築した. また各種接着分子の発現は蛍光免疫染色法にて組織観察した. 【結果】stretched群では細胞は伸展方向に対し直角に配列し, Fアクチンのストレスファイバーが強く観察された. この細胞形態および細胞骨格の変化は伸展活性(SA)チャネル阻害薬であるガドリニュウム(Gd3+)10μM添加により非伸展群に比べ更に抑制された. CD44は伸展に対しては変化が見られないがGd3+によって発現が抑制された. 【考察】骨芽細胞においてもSAチャネルを阻害すると伸展刺激による細胞形態応答は抑制されることから, 接着分子の発現やそれらに裏打ちされるF-アクチンの構造変化および動態の調整にはSAチャネルを介した細胞内へのCa2+流入が重要である可能性を示唆した. |
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ISSN: | 0385-0137 |