4. 脳卒中後片麻痺内反尖足に対する矯正術の検討(第2報)-特に床反力計による分析

脳卒中後の片麻痺内反尖足に手術を施行し, 術後の歩行機能を評価する目的で坂道歩行の床反力測定を施行した. 症例は男5例, 女6例である. 患側は右側2例, 左側9例である. Br.stageはIIIが9例, IVが2例であった. 手術時年齢は26-63歳, 平均43歳6ヵ月であった. 追跡期間は6ヵ月-3年3ヵ月, 平均2年1ヵ月である. 手術法はアキレス腱延長術と足趾屈筋腱切離術に前脛骨筋腱外側移行術または後脛骨筋腱前方移行術の組合せである. 術後, 足関節の底背屈を随意的に行えるまでに回復したのは5例で, 不能は6例である. 測定方法は大形床反力計のプラット フォームの上に勾配4度の木製の...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 25; no. 5; p. 365
Main Authors 野口哲夫, 須田康文, 半田豊和, 長尾竜郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1988
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Summary:脳卒中後の片麻痺内反尖足に手術を施行し, 術後の歩行機能を評価する目的で坂道歩行の床反力測定を施行した. 症例は男5例, 女6例である. 患側は右側2例, 左側9例である. Br.stageはIIIが9例, IVが2例であった. 手術時年齢は26-63歳, 平均43歳6ヵ月であった. 追跡期間は6ヵ月-3年3ヵ月, 平均2年1ヵ月である. 手術法はアキレス腱延長術と足趾屈筋腱切離術に前脛骨筋腱外側移行術または後脛骨筋腱前方移行術の組合せである. 術後, 足関節の底背屈を随意的に行えるまでに回復したのは5例で, 不能は6例である. 測定方法は大形床反力計のプラット フォームの上に勾配4度の木製の斜面台を固定し坂道とし, この上を裸足で歩かせた. その結果, 足関節の底背屈が随意になった症例の床反力波形は健常例に似たパターンであるが, 患側の垂直分力は前後の峰の距離が短く健側が長い. 前後分力の駆動力は上りでは出現しているが, 下りでは不明瞭である. 側方分力はいずれも変位が大きい. 次に足関節がいわゆるteno-desisの症例の床反力は, 上りでは全体的に駆動期に偏って出現しており, 下りでは駆動力はほとんど認められず, 自然落下の状態といえる. 制動には健側が主に働いている. これらのことから, 前後分力パターンは足関節の底背屈機能を反映しているものと推定できる. 側方分力が大きく, step-widthが広くなっていることを表しているといえる. 答 野口哲夫:坂道歩行の目的は, 内反尖足の術後に足関節の底背屈が可能になった例があり, この時の床反力パターンを計測するためである. この結果, 足関節の回復とパターン変化に相関があるように思われる.
ISSN:0034-351X