15.乳癌胸壁再発に対する健側乳房弁を用いた胸壁再建術の経験
【症例】75歳の女性. 1993年右乳癌の診断で他院で定型乳切を施行された. その後, 2回の胸壁再発で腫瘤切除術, 右胸骨傍郭清+αの手術を受けている. さらに, 2001年に左乳癌の診断で当院で乳房温存術を施行された. 今回, 3回目の胸壁再発が発見された. 全身検索では胸壁以外の再発 転移所見はなかった. ただし, 慢性関節リウマチ, 頸髄症, 脳梗塞など数々の合併症を有しており, PS, ADLに問題がある. 治療方針として胸壁再発のみであることから, 外科治療のみでcureすることとした. 【術式と方法】腫瘤外縁から2cm以上のmarginをおいて胸壁全層切除を行った. 胸壁再建法は...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 4; p. 433 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.11.2003
Kitakanto Medical Society |
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 【症例】75歳の女性. 1993年右乳癌の診断で他院で定型乳切を施行された. その後, 2回の胸壁再発で腫瘤切除術, 右胸骨傍郭清+αの手術を受けている. さらに, 2001年に左乳癌の診断で当院で乳房温存術を施行された. 今回, 3回目の胸壁再発が発見された. 全身検索では胸壁以外の再発 転移所見はなかった. ただし, 慢性関節リウマチ, 頸髄症, 脳梗塞など数々の合併症を有しており, PS, ADLに問題がある. 治療方針として胸壁再発のみであることから, 外科治療のみでcureすることとした. 【術式と方法】腫瘤外縁から2cm以上のmarginをおいて胸壁全層切除を行った. 胸壁再建法は広背筋皮弁, 腹直筋皮弁は過去の手術歴からリスクが大きい. 熟慮の結果, 骨性胸郭はMarlex mesh3重で, 軟性胸郭は左乳房の皮膚 脂肪 乳腺を受動した乳房弁で再建を行った. 【術後経過】浸潤性乳管癌の軟部組織再発で, 肋骨に浸潤し破壊していた. 切除断端は陰性であった. 術後合併症はみられず, 再建乳房弁のトラブルもなかった. 術後の追加治療は行わず経過観察中である. 患者サイドもほぼ満足できる結果が得られている. ただし, 将来の危惧される点は, 乳房弁内の再発または新たな癌の発生と新たな胸壁再発が生じた場合の対処法である. |
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ISSN: | 1343-2826 |