24. Duchenne型進行性筋ジストロフィー症(DMD)における筋障害の進行過程-CTスキャンによる検討(第3報:骨盤帯および体幹筋)
我々は, CTによる定量的評価法を用いて, DMD例の下腿と大腿の筋障害の進行過程を検討し, 筋障害は一定の順序で進むことを報告した. 今回は, 骨盤帯と体幹筋について検討を加えたので報告する. 【対象】DMDと確診された71例(Swinyard stage2-8)を対象とした. 【方法】(1)CTスキャナーは, Hitachi CTW500を用い, 撮影条件は, スライス幅5mm, スキャン時間6秒, X線120KVp, 200mAとした. (2)較正を毎週行い, CT値の安定性を確認した. (3)スライス部位は, 恥骨結合より2cm上方部および第3腰椎椎体中央部とした. (4)CT内蔵のコ...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 26; no. 5; pp. 354 - 355 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.09.1989
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 我々は, CTによる定量的評価法を用いて, DMD例の下腿と大腿の筋障害の進行過程を検討し, 筋障害は一定の順序で進むことを報告した. 今回は, 骨盤帯と体幹筋について検討を加えたので報告する. 【対象】DMDと確診された71例(Swinyard stage2-8)を対象とした. 【方法】(1)CTスキャナーは, Hitachi CTW500を用い, 撮影条件は, スライス幅5mm, スキャン時間6秒, X線120KVp, 200mAとした. (2)較正を毎週行い, CT値の安定性を確認した. (3)スライス部位は, 恥骨結合より2cm上方部および第3腰椎椎体中央部とした. (4)CT内蔵のコンピュータを用いて, 骨盤帯および体幹筋各々について, (1)CT値の平均, (2)断面積, (3)%断面積を求めた. なお, %断面積とは, 正常の筋CT値の範囲(30~120HU)と脂肪のCT値の範囲(-60~-200HU)各々にはいる部分の割合を指す. 【結果】(1)Stageの進行とともに, 各筋でCT値, 筋の%断面積は減少し, 脂肪の%断面積は増加する傾向が認められたが, その程度には筋により差異が存在した. (2)筋障害が早期より認められるのは大殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋, 中期より認められるのは腸腰筋・腰方形筋・傍脊柱筋であった. 腹直筋・腹斜筋は比較的末期まで保たれていた. 【結論】筋CTによる定量的評価を用いて, DMD児の骨盤帯および体幹の筋障害の進行過程を明らかにした. 今後, 筋力や拘縮・変形の推移との対比を行っていく予定である. 質問 国療徳島病院 水谷滋:(1)DMD患者の体幹CT像と筋力テストとの関係はどうだったでしょうか. (2)体幹CT像の変性の程度と歩行との関係はどのようであったでしょうか. 体幹筋の変性と下肢筋力との関係はどうだったでしょうか. 答 里宇明元:(1)今回までの発表は, cross-sectional studyであり, 現在筋力の推移との対比も含めてlongitudinal studyを行っており, 今後発表する予定です. (座長の質問に対して)DMD例の筋障害は, かなり一定の順序に従って進行するといえるが, myotonlc dystrophy例に関しては, 系統的な検討はまだ行われておらず, 今後の課題と思われます. |
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ISSN: | 0034-351X |