2.視床出血患者における初期情報からの歩行能力予後予測

【目的】高血圧性脳内出血-視床出血患者について, 初期情報から歩行能力予後予測がどの程度可能であるか, 統計的手法を用いて検討した. 次に, その予測式を用いてリハシステムの違う施設の患者を予測し, 予測値と実際値のくい違いをリハ効果と考え検討した. 【対象と方法】解析の対象としたのは, 都市救急病院44例(T施設), 当院30例(K施設)で, 共に発症後24時間以内の所見を用いている. <解析1>T施設44例を多変量解析-数量化I類で解析し, 予後予測式を設定した. 説明変数を年齢, 病巣の左右, CT分類, 血腫量, 意識(太田の分類), 麻痺とし, 目的変数を歩行到達度, 1...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 24; no. 4; pp. 208 - 209
Main Authors 葺石安利, 有田清三郎, 鈴木俊久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.07.1987
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】高血圧性脳内出血-視床出血患者について, 初期情報から歩行能力予後予測がどの程度可能であるか, 統計的手法を用いて検討した. 次に, その予測式を用いてリハシステムの違う施設の患者を予測し, 予測値と実際値のくい違いをリハ効果と考え検討した. 【対象と方法】解析の対象としたのは, 都市救急病院44例(T施設), 当院30例(K施設)で, 共に発症後24時間以内の所見を用いている. <解析1>T施設44例を多変量解析-数量化I類で解析し, 予後予測式を設定した. 説明変数を年齢, 病巣の左右, CT分類, 血腫量, 意識(太田の分類), 麻痺とし, 目的変数を歩行到達度, 1独歩自立, 2監視, 3介助, 4全介助または車椅子, 5寝たきりまたは死亡とした. <解析2>T施設症例にて得られた予測式でK施設症例の歩行到達度を予測し, 実際値とのくい違いを求めた. 【結果と考察】予測式の精度を表す重相関係数は, R=0.9537で六つの説明変数で, 目的変数が比較的良く予測されている. カテゴリーウエイト(CW)では, 年齢60歳以上, 血腫量10ml以上, 意識II桁以上が予後に悪い影響を及ぼす. CT分類, 麻痺は, それぞれに妥当なCWが与えられている. K施設症例における予測値と実際値の違いでは, 好結果14例, 不変12例, 悪化4例であった. 機能の向上としては, 監視が独歩自立に, 全介助が介助への向上が示唆された. 年齢では60~70歳代にリハ効果が顕著であった. 質問 中伊豆リハセンター三島博信:視床出血を対象に選んだ理由は何でしょうか. この部の障害では知覚障害や眼症状がありますが, 運動麻痺は軽症なものが多いはずですが?質問 窪田俊夫(座長):急性期を過ぎ, 回復期, 慢性の初期に向かって, 次第に予測に関する臨床的な情報量が増加してくると思われますが, その中で運動学習能力に影響を与える知的水準の低下, 空間認知の障害などの関与について, どのように考えておられますか.
ISSN:0034-351X