オカダ酸によるヒト口腔扁平上皮癌細胞アポトーシス誘導とFasレセプターおよびFasリガンド発現の制御

【目的】蛋白質リン酸化と脱リン酸化が細胞の増殖, 分化およびアポトーシスの制御に重要な役割を果たすことが明らかにされてきた. ところが扁平上皮癌における蛋白質脱リン酸化酵素とFasレセプターおよびFasリガンドの発現に関しては不明な点が多い. 今回我々は, ヒト口腔扁平上皮癌細胞(SCC-25)におけるオカダ酸誘導アポトーシスとFasレセプターおよびFasリガンドの発現をmRNAと蛋白レベルで検討した. 【方法】1. オカダ酸処理SCC-25細胞におけるFasレセプターとFasリガンド遺伝子と蛋白の発現をRT-PCR法, Western Blottihg法により調べた. 2. オカダ酸処理によ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 417
Main Authors 後藤佳穂, 藤田弥千, 福田仁一, 羽地達次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:【目的】蛋白質リン酸化と脱リン酸化が細胞の増殖, 分化およびアポトーシスの制御に重要な役割を果たすことが明らかにされてきた. ところが扁平上皮癌における蛋白質脱リン酸化酵素とFasレセプターおよびFasリガンドの発現に関しては不明な点が多い. 今回我々は, ヒト口腔扁平上皮癌細胞(SCC-25)におけるオカダ酸誘導アポトーシスとFasレセプターおよびFasリガンドの発現をmRNAと蛋白レベルで検討した. 【方法】1. オカダ酸処理SCC-25細胞におけるFasレセプターとFasリガンド遺伝子と蛋白の発現をRT-PCR法, Western Blottihg法により調べた. 2. オカダ酸処理によるSCC-25細胞のアポトーシス誘導を細胞活性試験(WST-1), 核の凝集, DNAラダー形成等の手法により検討した. 【結果と考察】1. SCC-25細胞はFasレセプターおよびFasリガンドのmRNAを発現している. オカダ酸は濃度および時間依存的にFasレセプターとFasリガンドのmRNA発現を促進した. 2. オカダ酸は濃度及び時間依存的にFasレセプターとFasリガンド蛋白の合成を促進した. 3. オカダ酸はSCC-25細胞のアポトーシスを誘導した. 以上の結果から, オカダ酸はFasレセプター及びFasリガンドを介してSCC-25細胞のアポトーシスを誘導すると考えられる.
ISSN:0385-0137