P-39. 青斑核-大脳皮質内側前頭前野ノルアドレナリン神経系への鎮静薬の作用

脳内ノルアドレナリン神経の細胞体部位である青斑核(以下, LC)は, ヒトで12,000個, ラットでも1,500個程度の細胞体数でありながら, その遠心性線維は広く全脳から脊髄に投射し, 機能的に最も集約した脳部位の一つである. 大脳皮質内側前頭前野(以下, PFC)は, 不安, 恐怖などの陰性情動発現, ストレス認知, 意識レベルなどに重要な役割を持つ脳部位で, LCから投射するNA神経終末が豊富に存在する. 演者らは, LCとPFCの2ヵ所に同時にマイクロダイアリシスを行うデュアルプローブ・マイクロダイアリシスによって, α2受容体作動性鎮静薬(デクスメデトミジン, 以下DEX)とベンゾ...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 200 - 201
Main Authors 河原博, 東泉, 古賀裕紀子, 原野望, 吉田充広, 仲西修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.01.2009
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Summary:脳内ノルアドレナリン神経の細胞体部位である青斑核(以下, LC)は, ヒトで12,000個, ラットでも1,500個程度の細胞体数でありながら, その遠心性線維は広く全脳から脊髄に投射し, 機能的に最も集約した脳部位の一つである. 大脳皮質内側前頭前野(以下, PFC)は, 不安, 恐怖などの陰性情動発現, ストレス認知, 意識レベルなどに重要な役割を持つ脳部位で, LCから投射するNA神経終末が豊富に存在する. 演者らは, LCとPFCの2ヵ所に同時にマイクロダイアリシスを行うデュアルプローブ・マイクロダイアリシスによって, α2受容体作動性鎮静薬(デクスメデトミジン, 以下DEX)とベンゾジアゼピン系鎮静薬(ミダゾラム)のしC-PFCノルアドレナリン神経系への作用をラットで検討した. DEX, ミダゾラムともに静脈内投与によって, LC-PFCノルアドレナリン神経活動を抑制した. HandlingストレスによりLC-PFCノルアドレナリン神経活動は亢進したが, ミダゾラムはその亢進を抑制し, DEXは抑制しないことを観察した. 以上の結果は, 臨床的なDEXとミダゾラムの鎮静作用の相違と相関するものであり, 鎮静作用の発現にLC-PFCノルアドレナリン神経活動が深く関与する事を裏付けるものと考えられた.
ISSN:0368-6833