5.胃十二指腸潰瘍穿孔症例の検討
近年, 胃十二指腸潰瘍穿孔に対しては保存的治療が有効な治療法として確立してきている. 今回, 当院における胃十二指腸潰瘍穿孔症例を検討したので報告する. 【対象】1995年9月から2003年7月までに胃あるいは十二指腸潰瘍穿孔の診断で治療した140例を対象とした. うち保存的治療を行ったのは110例(79%)で, 胃潰瘍穿孔32例, 十二指腸潰瘍穿孔78例, 男女比は88:22, 平均年齢53歳(13~87歳)であった. 【結果】胃潰瘍穿孔では, 保存的治療で24例が軽快し, 3例が穿刺ドレナージ, 5例が手術移行と追加治療を要した. 十二指腸潰瘍では67例が軽快, 2例が穿刺ドレナージを行い...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 4; pp. 352 - 353 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.11.2004
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Summary: | 近年, 胃十二指腸潰瘍穿孔に対しては保存的治療が有効な治療法として確立してきている. 今回, 当院における胃十二指腸潰瘍穿孔症例を検討したので報告する. 【対象】1995年9月から2003年7月までに胃あるいは十二指腸潰瘍穿孔の診断で治療した140例を対象とした. うち保存的治療を行ったのは110例(79%)で, 胃潰瘍穿孔32例, 十二指腸潰瘍穿孔78例, 男女比は88:22, 平均年齢53歳(13~87歳)であった. 【結果】胃潰瘍穿孔では, 保存的治療で24例が軽快し, 3例が穿刺ドレナージ, 5例が手術移行と追加治療を要した. 十二指腸潰瘍では67例が軽快, 2例が穿刺ドレナージを行い, 9例が手術へ移行した. 保存的治療群と追加治療を要した群との比較では, 平均年齢が46歳と55歳と追加治療群で高かった. また, 来院時の腹水量500ml以上の割合も, 追加治療群で多かった. 保存的治療群と手術移行群との入院から5日目までの体温と白血球数の比較では, 3日目の体温が手術移行群で高い傾向にあった. 白血球数には両群に差は認められなかった. 追加治療を要した理由は, 腹水の増加, 穿孔部未閉鎖などであった. 140例のうち, 30例(21%)は診断後, 直ちに緊急手術を行った. その主な理由は, 腹水多量や高齢者であった. 【まとめ】胃十二指腸潰瘍穿孔症例において, 約80%の症例は保存的治療にて軽快した. 保存的治療では, 腹水量の増加, 穿孔部の閉鎖が治療効果の目安となるため厳重な観察が必要である. また, 手術等追加治療への迅速な判断も必要と思われる. |
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ISSN: | 1343-2826 |