フィブロネクチンとPorphyromonas gingivalis線毛の結合部位の解析

(目的)有力な歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalis(Pg)は宿主の細胞外基質(ECM)や唾液タンパクと結合することにより宿主への定着を果たすと考えられている. しかし, ECMの線毛との結合部位は明らかとされていない. 本研究ではフィブロネクチン(FN)の線毛との結合部位について解析を行った. (方法)ヒトフィブロネクチンcDNAをテンプレートにPCR法にて12個の遺伝子断片をクローニングし, 発現ベクターであるpGEX6P-1を用いてGST融合リコンビナントタンパクを発現, 精製した. これらのリコンビナントタンパクとPgATCC33277株より精製したI型線...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 499
Main Authors Premaraj Thyagaseely, 中川一路, 天野敦雄, 中村好孝, 川端重忠, 浜田茂幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:(目的)有力な歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalis(Pg)は宿主の細胞外基質(ECM)や唾液タンパクと結合することにより宿主への定着を果たすと考えられている. しかし, ECMの線毛との結合部位は明らかとされていない. 本研究ではフィブロネクチン(FN)の線毛との結合部位について解析を行った. (方法)ヒトフィブロネクチンcDNAをテンプレートにPCR法にて12個の遺伝子断片をクローニングし, 発現ベクターであるpGEX6P-1を用いてGST融合リコンビナントタンパクを発現, 精製した. これらのリコンビナントタンパクとPgATCC33277株より精製したI型線毛との結合をドットブロットおよびBIACOREを用いて解析した. (結果と考察)Pg線毛はヒトフィブロネクチンのタイブIIリピート(コラーゲン結合部位), RGD配列を含まないタイプIIIリピート部分と結合した. ブドウ球菌やレンサ球菌のフィブロネクチン結合タンパクとの結合領域とされるFNのN末端のタイプIリピートとは反応しなかったのに対し, FNのC末端側のフィブリン結合領域であるタイプIリピート部分とは結合した. BIACOREを用いた解析から, 同線毛はタイプIIIリピート部分がもっとも強く結合することが示された. 以上の結果から, Pgの線毛はヒトFNと少なくとも3力所で結合し, FN分子の中央部に位置するタイプIIIリピート部分をもっとも強く認識することが明らかとなった.
ISSN:0385-0137