P32. 象牙質フォスフォフォリンの歯髄細胞走化性への影響

【緒言】象牙質フォスフォフォリンはDSPP遺伝子産物で, 象牙質の非コラーゲン性タンパク質の50%を占める高リン酸化タンパク質である. これまでにわれわれは, 象牙質フォスフォフォリンが高い石灰化誘導活性を示し, 象牙質の石灰化において主要な役割を果たしていることを明らかにしてきた. 修復象牙質形成においては, 未分化間葉系幹細胞の遊走, 増殖, 象牙芽細胞への分化, 石灰化過程を踏むとされるが, 象牙質フォスフォフォリンの走化性や増殖への影響はほとんど明らかにされていない. そこで本研究では, 象牙質フォスフォフォリンによるヒト歯髄細胞の走化性および増殖能への影響を検討した. 【方法】ヒト初...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本再生歯科医学会誌 Vol. 5; no. 1; p. 69
Main Authors 安田善之, 泉川昌宣, 斎藤隆史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本再生歯科医学会 30.12.2007
Japanese Association of Regenerative Dentistry
Online AccessGet full text
ISSN1348-9615

Cover

More Information
Summary:【緒言】象牙質フォスフォフォリンはDSPP遺伝子産物で, 象牙質の非コラーゲン性タンパク質の50%を占める高リン酸化タンパク質である. これまでにわれわれは, 象牙質フォスフォフォリンが高い石灰化誘導活性を示し, 象牙質の石灰化において主要な役割を果たしていることを明らかにしてきた. 修復象牙質形成においては, 未分化間葉系幹細胞の遊走, 増殖, 象牙芽細胞への分化, 石灰化過程を踏むとされるが, 象牙質フォスフォフォリンの走化性や増殖への影響はほとんど明らかにされていない. そこで本研究では, 象牙質フォスフォフォリンによるヒト歯髄細胞の走化性および増殖能への影響を検討した. 【方法】ヒト初代培養歯髄細胞は, 便宜抜去した智歯より無菌的に歯髄を摘出し, コラゲナーゼ処理により調製した. 象牙質フォスフォフォリンはブタ抜去歯の脱灰液よりDEAE cellulose陰イオン交換カラムを用いて精製した. 歯髄細胞の走化性は24-well Transwell insertを用いたmodified Boyden-chamber assay法により測定した. 【結果および考察】象牙質フォスフォフォリンは細胞走化性を有意に促進したが, 細胞増殖能への影響は認めなかった. 培地中への[v[3インテグリン抗体添加により, 走化性は有意に抑制された. 象牙質フォスフォフォリンは修復象牙質形成において細胞走化性にも影響を与えることが示唆された.
ISSN:1348-9615