7. 奈良県下におけるスモン患者の日常生活動作の実態について
奈良県下のスモン患者60例(男性23例, 女性37例)の現在の神経症状の程度の評価, 基本動作の評価を行なうとともに日常生活動作, 家庭.社会状況についてのアンケート調査を行なった. 対象60例の年齢は37~82歳, 平均61.6±9.3歳, 罹病期間は12~22年, 平均15.2±2.3年である. 神経学的所見では, 中等度以上の視力障害例が約30%, 中等度以上の下肢筋力低下例が約50%, 知覚障害の上界レベルはTh9~L2にある例が約70%で, 下肢末梢部での障害程度が中等度以上の例は90%以上を占めた. 何らかの自律神経異常は約80%の例に認めた. 基本動作の障害程度は, 介助が必要か...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 20; no. 5; p. 302 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.09.1983
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Summary: | 奈良県下のスモン患者60例(男性23例, 女性37例)の現在の神経症状の程度の評価, 基本動作の評価を行なうとともに日常生活動作, 家庭.社会状況についてのアンケート調査を行なった. 対象60例の年齢は37~82歳, 平均61.6±9.3歳, 罹病期間は12~22年, 平均15.2±2.3年である. 神経学的所見では, 中等度以上の視力障害例が約30%, 中等度以上の下肢筋力低下例が約50%, 知覚障害の上界レベルはTh9~L2にある例が約70%で, 下肢末梢部での障害程度が中等度以上の例は90%以上を占めた. 何らかの自律神経異常は約80%の例に認めた. 基本動作の障害程度は, 介助が必要か不能例の割合は, 寝返りで5%, 起き上り3.7%, 四這い3.3%, 四這い移動6.8%, 膝立ち26.6%, 膝歩き35.0%, 片膝立ち48.7%, 立位30.0%, 片足立ち56.9%, 床からの立ち上り35.6%であった. アンケートによる日常生活動作では, 一部または全介助が必要な例は, 衣服の着脱で17%, 入浴で27%, 用便で11%, 食事で11%であった. 今回の調査での神経症状は過去の報告と著しい違いはなかった. 基本動作の障害度は, 下肢機能が主体の動作では介助が必要か不能例の割合は30~50%を占めるが, 日常生活動作では一部または全介助が必要な例は入浴を除いて10~20%と比較的少なかった. これは日常生活上の工夫や, 設備の改善などに負うところが多いと推定される. 質問 都立神経病院 花籠 良一: スモン60症例のうち, 食事全介助, または一部介助例があるようですが, 実際, スモン下肢障害ですのに, 食事介助も居るのですか. |
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ISSN: | 0034-351X |