6.中年男性における虚血性心疾患発症への危険因子の検討-職域健診4,007例,9年間の追跡調査より
【背景】最近の疫学研究により虚血性心疾患(IHD)発症と危険因子の関連が明らかにされつつあるが, 対象が中年男性および北海道における検討は少ない. 【目的】北海道全域を対象とした職域健診での中年男性におけるIHD発症と危険因子の関連を検討すること. 【対象と方法】1995年に実施された男性健診受診者4,007例(平均年齢46.8±4.0歳)を対象に後向きコホート研究を行い, 各危険因子を説明変数としてコックス比例ハザード解析によりIHD発症に対する各危険因子のオッズ比(OR)を算出した. 【結果】平均追跡期間は100.1±1.7ヵ月, IHD発症例は83例で, 発症までの平均期間は65.3±1...
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Published in | 産業衛生学雑誌 Vol. 47; no. 2; pp. 94 - 95 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本産業衛生学会
01.03.2005
公益社団法人日本産業衛生学会 Japan Society for Occupational Health |
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ISSN | 1341-0725 |
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Summary: | 【背景】最近の疫学研究により虚血性心疾患(IHD)発症と危険因子の関連が明らかにされつつあるが, 対象が中年男性および北海道における検討は少ない. 【目的】北海道全域を対象とした職域健診での中年男性におけるIHD発症と危険因子の関連を検討すること. 【対象と方法】1995年に実施された男性健診受診者4,007例(平均年齢46.8±4.0歳)を対象に後向きコホート研究を行い, 各危険因子を説明変数としてコックス比例ハザード解析によりIHD発症に対する各危険因子のオッズ比(OR)を算出した. 【結果】平均追跡期間は100.1±1.7ヵ月, IHD発症例は83例で, 発症までの平均期間は65.3±19.2ヵ月であった. 発症群と非発症群における各危険因子の平均値およびORは, HDL-コレステロール(C)は41.4±8.9 vs 54.2±16.3mg/dl;OR(HDL-Cが10mg/dl上昇した場合):0.43(95%信頼区間0.34-0.53, p<0.001), 収縮期血圧(SBP)は138.1±15.2 vs l27.4±17.4mmHg;OR(SBPが10mmHg上昇した場合):1.33(95%信頼区間1.19-1.49, p<0.001), 総コレステロール(TC)は221.5±34.1 vs 201.7±32.1mg/dl;OR(TCが10mg/dl上昇した場合):1.20(95%信頼区間1.12-1.28, p<0.001), 空腹時血糖値(FBS)は110.3±46.9 vs 97.2±22.9mg/dl;OR(FBSが10mg/dl上昇した場合):1.06(95%信頼区間1.02-1.11, p<0.01), 喫煙はOR:1.85(95%信頼区間1.12-3.07, p<0.05)であった. BMIは両群間で有意差を認めなかった. 【結論】9年間にわたり観察し得た北海道における中年男性の職域健診の結果, 各危険因子のオッズ比の解析からHDL-CがIHD発症に重要であることが示唆された. |
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ISSN: | 1341-0725 |