21.回復期リハビリテーション病棟と介護療養型病棟における入院患者の摂食障害 -摂食・嚥下評価とアプローチの現状

当院における入院患者の摂食, 嚥下障害について, 2003年10月から2005年3月までの言語療法部門のデータベースから重症度と各相の障害の有無, 摂食障害に関連する要因を分析した. またこのうち昨年度1年間に摂食訓練を実施した46例について, その障害内容および摂食機能改善の有無を検討した. 対象の大半は脳血管障害例であり, 軽症例を除けば回復期リハビリテーション病棟では口腔期障害と機会誤嚥の割合が多かったのに対し, 療養病棟では水分誤嚥や食物誤嚥といった重度障害の割合が多く, 過半数が臨床的に認知障害(痴呆症状)を伴っていた. 歯牙の欠損, 義歯不適合も過半数に認められた. 2004年度の...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 42; no. 11; p. 795
Main Authors 小野仁之, 柴田斉子, 泰間良彦, 坂本博和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.2005
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:当院における入院患者の摂食, 嚥下障害について, 2003年10月から2005年3月までの言語療法部門のデータベースから重症度と各相の障害の有無, 摂食障害に関連する要因を分析した. またこのうち昨年度1年間に摂食訓練を実施した46例について, その障害内容および摂食機能改善の有無を検討した. 対象の大半は脳血管障害例であり, 軽症例を除けば回復期リハビリテーション病棟では口腔期障害と機会誤嚥の割合が多かったのに対し, 療養病棟では水分誤嚥や食物誤嚥といった重度障害の割合が多く, 過半数が臨床的に認知障害(痴呆症状)を伴っていた. 歯牙の欠損, 義歯不適合も過半数に認められた. 2004年度の訓練実施例では約4割のケースで入院中に摂食内容(食物形態)に向上がもたらされた. 入院時に経管栄養であった13例のうち, 回復期リハ病棟の8例中5例, 療養病棟の5例中1例が経口摂取可能となった. 臨床的に誤嚥を認めるような(重症度4以上)障害例では, 咽頭期のみならず認知期, 準備期, 口腔期にもほとんど同じ頻度で障害が認められていた. 摂食機能の温存については姿勢や覚醒への働きかけ, 口腔刺激や義歯調整など早期からの総合的なアプローチが必要であることが再確認された.
ISSN:0034-351X