昭和大学歯学部ハイテク・リサーチ・センター後援セミナー WntとBMP-2シグナルのクロストークと骨代謝
Wntシグナル伝達系は生物種を超えて保存され, 生体の発生, 分化そして維持に関わる重要な経路である. その活性の異常は, 癌をはじめさまざまな病態を引き起こすことが知られている. 近年, Wntシグナルの骨代謝における役割が急速に解明されつつあり, Wntのシグナルを伝達するβ-cateninは, 骨芽細胞分化に必須の分子と考えられている. 今回の講演では, 骨芽細胞においてWnt/β-cateninとBMP-2の2つのシグナルはお互いを修飾しクロストークしていること, およびこれらのシグナルによって破骨細胞形成を抑制するosteo-protegerin(OPG)遺伝子の発現を制御しているこ...
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Published in | Dental Medicine Research Vol. 28; no. 3; p. 261 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学・昭和歯学会
30.11.2008
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Summary: | Wntシグナル伝達系は生物種を超えて保存され, 生体の発生, 分化そして維持に関わる重要な経路である. その活性の異常は, 癌をはじめさまざまな病態を引き起こすことが知られている. 近年, Wntシグナルの骨代謝における役割が急速に解明されつつあり, Wntのシグナルを伝達するβ-cateninは, 骨芽細胞分化に必須の分子と考えられている. 今回の講演では, 骨芽細胞においてWnt/β-cateninとBMP-2の2つのシグナルはお互いを修飾しクロストークしていること, およびこれらのシグナルによって破骨細胞形成を抑制するosteo-protegerin(OPG)遺伝子の発現を制御していることなどを解説していただいた. ヒトにおいてWnt受容体の一つLRP5(LDL receptor related protein 5)の変異によって, 骨量の異常をきたすことが報告され, Wntシグナルは骨代謝において重要な役割を担うことが知られている. 田村教授らのグループは, Wnt/LRPシグナルがどのように骨量を調節しているか明らかにする目的で, 未分化な筋芽細胞であるC2C12細胞を用い, Wntシグナルを促進するWnt3aならびに抑制するWnt5aをそれぞれ過剰発現させた安定な細胞株を作製し, 骨芽細胞分化における解析を行った. |
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ISSN: | 1882-0719 |