リンパ管系の形態学的解析とその臨床応用 -癌腫播種性転移・リンパ行性転移機構の解明を目指して

近年, lymphatic endotheliumに対する特異的分子マーカー(LIVE-1, D2-40など)の発見により切片上のリンパ管の観察精度は飛躍的に向上した. しかしその一方で, リンパ行性転移機構を理解する上で重要となるinitial lymphatics(IL)ならびにリンパ管網(LN)の系統的観察, または腫瘍関連angiogenesis・lymphangiogenesisの形態的特徴については上記分子マーカーでは必ずしも十分解明できているとはいえない. 演者は, 上記分子マーカーの発見以前から5'-nucleotidase(5'-Nase)染色法をリンパ管...

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Published inDental Medicine Research Vol. 29; no. 1; p. 102
Main Author 三浦真弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 31.03.2009
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ISSN1882-0719

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Summary:近年, lymphatic endotheliumに対する特異的分子マーカー(LIVE-1, D2-40など)の発見により切片上のリンパ管の観察精度は飛躍的に向上した. しかしその一方で, リンパ行性転移機構を理解する上で重要となるinitial lymphatics(IL)ならびにリンパ管網(LN)の系統的観察, または腫瘍関連angiogenesis・lymphangiogenesisの形態的特徴については上記分子マーカーでは必ずしも十分解明できているとはいえない. 演者は, 上記分子マーカーの発見以前から5'-nucleotidase(5'-Nase)染色法をリンパ管と血管を染別する5'-Nase-ALPase酵素二重染色とともに哺乳動物の種々の器官系のリンパ管解析に応用してきた(Miura et al. 1998, 2000, 2001). 5'-Nase染色は, 切片試料の他, 伸展組織・剥離試料においても染色精度を保ったままリンパ管の系統的観察が可能であったため, 癌の浸潤・進展の予測またはその治療法選択のEBMとして臨床サイドから評価された.
ISSN:1882-0719