5. 多臓器不全を合併した甲状腺クリーゼの1例
【症例】28歳, 男性. 甲状腺機能亢進症と診断されたが治療を中断していた. 入院数日前より呼吸困難が出現したため近医より緊急搬送となった. 来院時, 不隠状態で血圧92/62mmHg, 116回/分, 発汗過多, 眼球突出, 甲状腺腫大, 両下腿の浮腫が存在した. 著明な低酸素血症を呈し, 胸部X線写真で著明な心拡大と大量の胸水貯留を認めた. 超音波心臓検査では左室径拡大とびまん性壁運動低下を認めた. 血液検査の結果, 甲状腺機能亢進症, 高度肝障害, DIC, 急性腎不全と診断した. 人工呼吸管理とし, 利尿薬の投与を行った. 甲状腺機能亢進に対して, 抗甲状腺薬, ヨード, ステロイド薬...
Saved in:
Published in | 山口医学 Vol. 54; no. 4; p. 128 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
31.08.2005
Yamaguchi University Medical Association |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0513-1731 |
Cover
Summary: | 【症例】28歳, 男性. 甲状腺機能亢進症と診断されたが治療を中断していた. 入院数日前より呼吸困難が出現したため近医より緊急搬送となった. 来院時, 不隠状態で血圧92/62mmHg, 116回/分, 発汗過多, 眼球突出, 甲状腺腫大, 両下腿の浮腫が存在した. 著明な低酸素血症を呈し, 胸部X線写真で著明な心拡大と大量の胸水貯留を認めた. 超音波心臓検査では左室径拡大とびまん性壁運動低下を認めた. 血液検査の結果, 甲状腺機能亢進症, 高度肝障害, DIC, 急性腎不全と診断した. 人工呼吸管理とし, 利尿薬の投与を行った. 甲状腺機能亢進に対して, 抗甲状腺薬, ヨード, ステロイド薬, β遮断薬の投与を開始した. 第7病日, 甲状腺機能は正常化し, 心不全および酸素化も改善し, 第14病日に抜管した. 抜管後, 脾, 腎梗塞, ミオパチーが顕在化したが, 保存的に経過観察し, 第25病日にICUを退室した. 【結語】甲状腺クリーゼは多臓器不全を合併する場合があり, 厳密な全身管理を必要とする. |
---|---|
ISSN: | 0513-1731 |