9.脳梁離断症候群を呈した脳梁梗塞2例の症候比較

脳梁離断症候群では, 脳梁内の細かい連絡路局在評価が予後評価に重要である. 我々が経験した2例の脳梁梗塞の症候対比について報告する. 症例1は右脳梁幹中間部~膨大部の梗塞で左片麻痺は著明に改善. しかしタキストスコープ, ダイコティックリスニングは左で重度障害. WAB失行検査では問題ないが, 道具使用はぎこちなかった. キメラ図形では左手は左視野図を指そうとした. 右手構成障害は軽度. 症例2は左脳梁ほぼ全梗塞で右片麻痺なし. キタストスコープ, ダイコティックリスニングは左で著明障害. WAB失行検査で重度障害の上模倣も障害. キメラ図形では左手は完全に左視野図を指した. 右手の構成障害も...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 42; no. 2; p. 150
Main Author 佐々木信幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.2005
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:脳梁離断症候群では, 脳梁内の細かい連絡路局在評価が予後評価に重要である. 我々が経験した2例の脳梁梗塞の症候対比について報告する. 症例1は右脳梁幹中間部~膨大部の梗塞で左片麻痺は著明に改善. しかしタキストスコープ, ダイコティックリスニングは左で重度障害. WAB失行検査では問題ないが, 道具使用はぎこちなかった. キメラ図形では左手は左視野図を指そうとした. 右手構成障害は軽度. 症例2は左脳梁ほぼ全梗塞で右片麻痺なし. キタストスコープ, ダイコティックリスニングは左で著明障害. WAB失行検査で重度障害の上模倣も障害. キメラ図形では左手は完全に左視野図を指した. 右手の構成障害も重度. 右手の強制的道具使用も認めた. 2例とも左手の触覚認知は半分可能だった. 左手の失行は脳梁幹前部に及ぶ広い連絡路を持つ可能性がある. 左手の触覚は同側性入力である程度可能と思われた. 強迫的道具使用は脳梁前方に責任巣があると思われた. 模倣が障害された症例2では視覚や構成能の影響もあると思われた.
ISSN:0034-351X