「温泉とリハビリテーション」-現状と将来方向

本シンポジウムに先立って座長から各演者の方々に, (1)従米の温泉のリハ的応用と今後の新しい利用法(2)温泉の効果メカニズムの新知兄(3)温泉のリハ的応用の問題点とその解決策についても触れていただく様にお願いし, ほぼその線に沿って有意義な発表と討論が行われた. 鹿教湯病院の藤田先生は脳卒中の温泉浴で, 浮力による連合反応や痙性抑制をEMGで, また精神的やすらぎをEEG上のα波の増大で示し, やや高温の気泡浴が痛み, シビレに有用と報告された. 中伊豆温泉病院の石原先生はRA患者の通常リハ群と運動浴追加群を比較し, 運動浴群で関節痛, 動きやすさ, 10m歩行時間, 一部ROMの改善を示され...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 61; no. 1; p. 11
Main Authors 田中信行, 桑原寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本温泉気候物理医学会 01.11.1997
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ISSN0029-0343

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Summary:本シンポジウムに先立って座長から各演者の方々に, (1)従米の温泉のリハ的応用と今後の新しい利用法(2)温泉の効果メカニズムの新知兄(3)温泉のリハ的応用の問題点とその解決策についても触れていただく様にお願いし, ほぼその線に沿って有意義な発表と討論が行われた. 鹿教湯病院の藤田先生は脳卒中の温泉浴で, 浮力による連合反応や痙性抑制をEMGで, また精神的やすらぎをEEG上のα波の増大で示し, やや高温の気泡浴が痛み, シビレに有用と報告された. 中伊豆温泉病院の石原先生はRA患者の通常リハ群と運動浴追加群を比較し, 運動浴群で関節痛, 動きやすさ, 10m歩行時間, 一部ROMの改善を示されたが, 通常リハによる改善も加わるためその評価は難しいといわれた. 鹿屋体育大赤嶺先生は1. 1m/秒の水流を生ずるフローマシンによる積極的水中筋力トレーニングを腰痛, RA, OA患者に行い, 肺活量, 背筋力, 肥満と自覚症の改善を示した. 特に内転筋, 四頭筋の伸展と筋力強化が重要で, バタ足, クロール, 蛙足泳ぎが良いと報告された. 鹿児島大リハ科の鄭先生は重症心不全に従来, 禁忌とされる温水浴, サウナ浴(60℃)をその血管拡張作用による心負荷軽減に注Hして行い, 著明な心拍出量, 駆出率, 自覚症の改善と血中NA, ANPの減少も示した. また3年の長期予後もACE阻害剤以上で, 心不全への温熱の新しい応用を推賞した. 岡山大三朝分院の谷崎先生は喘息患者に水中訓練, ヨードゾル吸入, 背部鉱泥パックの複合治療の重要性を報告された. 効果機序として, 呼吸筋訓練, 排痰殺菌と共に自律神経, 副腎皮質系の活性化が重要とした. 柳川リハ病院の松山先生は240床という大きなリハ専門病院の現状と市から分配の温泉水中浴の利用を報告された. PT. OT. ST. SW等で計33名という積極的リハマンパワーの充実に皆な驚き, リハ医療の将来を認識させた. 各演者間, またフロアとの質疑の中で今後の検討課題として, 温泉の効果として含有成分の何が重要なのかの同定, 温熱の血管拡張等の作用のより深い機序の解明, 温泉治療の保険採用等があげられた.
ISSN:0029-0343