P-13. 歯髄及び歯周組織の再生医療に関する研究

本研究の最終目標は歯髄及び歯周組織の再生療法確立にある. 今回, 象牙質/歯髄複合体の創傷治癒メカニズム解明と再生療法確立を目的として, 生体内での分解・吸収に伴いbasic fibroblast growth factor(bFGF)を徐放するbFGF含浸ゼラチンハイドロゲル粒子の露髄部への影響, 樹立した石灰化能を有する歯髄細胞株(KN-3)へのリポ多糖(LPS)の影響, さらにKN-3に対するbFGFの影響について検討した. bFGF含浸ゼラチンハイドロゲル粒子をラット上顎第一臼歯露髄面直上の象牙質欠損部に移植し, 組織学的・免疫組織学的観察を行った. またラット切歯歯髄から樹立した歯髄...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 61; no. 4/5; pp. 144 - 145
Main Authors 寺下正道, 西原達次, 横田 誠, 北村知昭, 笠井宏記
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.11.2007
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:本研究の最終目標は歯髄及び歯周組織の再生療法確立にある. 今回, 象牙質/歯髄複合体の創傷治癒メカニズム解明と再生療法確立を目的として, 生体内での分解・吸収に伴いbasic fibroblast growth factor(bFGF)を徐放するbFGF含浸ゼラチンハイドロゲル粒子の露髄部への影響, 樹立した石灰化能を有する歯髄細胞株(KN-3)へのリポ多糖(LPS)の影響, さらにKN-3に対するbFGFの影響について検討した. bFGF含浸ゼラチンハイドロゲル粒子をラット上顎第一臼歯露髄面直上の象牙質欠損部に移植し, 組織学的・免疫組織学的観察を行った. またラット切歯歯髄から樹立した歯髄細胞株の性質とLPS刺激とbFGF刺激の影響をALPase活性測定, real-time RT-PCR, およびvon Kossa染色にて検討した. ゼラチンハイドロゲル粒子からのbFGF徐放により象牙質欠損中に象牙質様顆粒の形成誘導が認あられた. また, 樹立したKN-3の石灰化能はLPS刺激により抑制された. さらにKN-3は, bFGF濃度依存的にBrdU取り込みが増加し, ALPase活性はbFGF濃度依存的, 作用時間依存的に抑制された. 本研究は歯髄・歯周組織再生療法を確立するという我々のプロジェクトの中で重要な基礎研究であり, 今回の結果は歯髄創傷治癒・再生療法確立に向けた研究に有用で, 歯髄・歯周組織再生療法確立を推進すると考えている.
ISSN:0368-6833